奄美民謡教室–東京奄美サンシン会–

私が通っている奄美民謡教室の稽古の様子です。

現在、生徒数が30数名在籍し活動しています。

※ H24.10.1現在 会員登録 50名
正式な名称を「東京奄美サンシン会」といいます。
稽古日: 毎月 第二、第四土曜日
※ 但し、日曜日になることもあります。
稽古時間: 午後1時から5時
場所: 南大塚地域文化創造館
最寄駅 「JR山手線 大塚駅」(南口)より徒歩5分

現在、南大塚地域文化創造館は改装中のため下記の要領で行っています。
場所:雑司ヶ谷地域文化創造館
豊島区雑司ヶ谷3-1-7
03-3590-1253
■ 交通
東京メトロ副都心線雑司ヶ谷2番出口直結
JR山手線池袋東口徒歩17分
目白駅徒歩10分
都電荒川線鬼子母神駅徒歩2分
詳細についてはフェイスブック参照の事
東京奄美サンシン会フェイスブック

現在は、会参加費として、参加毎¥1000を徴収しています。

※昨年7月会主本田輝峰の逝去に伴い、今年令和6年から新体制で活動を継続しています。
会長:原永周作
副会長:弘前正善
事務局:内田一也
会計:若松絹代

 私が入った頃は15人前後だったのですが、ここ数年入会者が増えてこの人数になりました。
何故に増えたのか、ブームも影響しているようにも思えます。
奄美出身の歌手、元ちとせ、中孝介などのメジャーデビューも関わっているようにも思えますが、それとは別に今の若い人たちには新しいジャンルの唄と思えるのでしょう。

入会者には奄美出身者もいますが、本土の出身の方もいて時代の移り変わりを感じます。

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2011021715410000.jpg稽古の始めは、発声練習からはいり、サンシン(蛇皮線とも呼称)の基礎訓練を行い、奄美独特の奏法をそれで習得し、島唄は基本の唄として「行きゅんにゃ加那節」を全員でうたいます。

最も知られている唄です。

教本には採譜した文化譜が使われています。

次に、練習する歌は「朝花節」、声慣らしの目的で唄うのですが、初級者も参加。

初級者には難しい唄なのですが。

2011021416350001.jpg 次は初級、中級と分かれての稽古、初級者は基本の奏法、唄とされるもの学び、中級者は課題曲の個人指導を受けます。

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初級者の稽古

奄美出身者でも「島口」、喜界では「シマユミタ」と呼ばれる方言を正しく発音が出来なくなっており歌詞の素読で矯正します。

字配り、間取りと言って唄の拍子、流れを学びますがなかなか指導通りには唄えず四苦八苦。

2011021416350000.jpg先生、手で机を叩きながら、間取りの指導。

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字配り、間取り、節回しなど教授していきます。

午後1時から5時まで稽古時間が有りますが、途中休憩時間を持ちます。2011021416360001.jpg

当日は20名ほどの参加があり、休憩時間それぞれ思い思いに、気のあった者同志と会話があり、とても楽しそうな時間になっているようです。

奄美民謡の特徴はブログ「奄美民謡・考察・」でも触れていますが、哀切、哀調などの言葉で表わされるように、物悲しい情緒を漂わせています。

唄の種類は、労働歌、祝い唄、恋愛歌などに分けられます。

恋愛歌と言っても悲恋な唄が多いです。

薩摩藩の統治時代が影響しているようです。

本土の人達は沖縄、奄美の区別がつき難いようですが、所有の資料を引用して簡単ですが違いを記述してみたいと思います。

「どこそこの地方には民謡の宝庫であるという言葉が良く使われる、文字通り民謡最大宝庫と言うのは奄美諸島である。鹿児島県の一群にすぎないこの島に、2、3百年もうたいつがれてきた民謡の数がざっと100曲、3000首にものぼるといわれる事実はまさに驚異に値するではないか。ところがふしぎなことに、これらの民謡紹介らしい紹介がほとんどされていなかった。せいぜい奄美民謡と言っても琉球民謡と似たりよったりのものだろうぐらいに想像される程度であった。しかしこの民謡にしばらく耳を傾けて聞くならば、琉球のものとは全く別箇の音階の上に成り立っていることを誰しも気づくにちがいない。・・・・・」 南海の唄ごえ・奄美民謡集より

どんな点に違いがあるか、琉歌の詩形では、八八八六調・四句・三十音が基本と奄美も同じですが、歌詞の内容に違いがあるのです。

琉歌は、300年前も昔にできたものでさえ作詞・作曲者の名前がわかっている曲が多いのにひきかえ奄美民謡では1、2曲のものを除外すると、まったく名前がわかっていない。

その違いをこう説明しています。

「琉球の民謡は役人の立場にある人が平民のために作詞、作曲したものが大分であるから教訓歌とか、収穫、大漁を喜ぶような作為的な唄が多いのに対して、奄美民謡では「朝花」とか祝いつけ唄のような儀礼的なものを別にすると、いずれも農民自身が自分の悲しみや苦しみをうたいあげている。また圧倒的に熱烈な恋愛歌の多いことも奄美民謡の特色である。・・・・」

先に述べましたが、薩摩藩の統治時代、農民は虐げられ苦境に身を置いて、悲しみ苦しみに耐え生活をしていたらこそ生まれてきたのだと思います。

小さなころから親戚が集まると、唄あしびが始まり聞いていたものです。

方言の発音も独特で、拗音として分けられるキャ、キョ、チャ、チュ、チョの発音があり、叔母からは万葉言葉が喜界島には残っているのと教えられました。

 

戦前叔母が小さい頃、実際に本土から来て言葉の調査をしたそうです。

「喜界島方言集」として方言をまとめ発刊されています。

この本は、昭和52年に発刊された復刻版です。

初版は昭和16年 中央公論社。

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<追記>

方言集のス行のページの一部を紹介します。

確かに、母音[a][i][u]の三音の原則と、拗音チュ、などの発音が記述されています。

大和言葉、母音は5音ですが、奄美は三音その原則でいえば、[e]→[i]に[o]→[u]と発音され、

例えばヨイスラ節として発音するのでなく、ユイスラ節と発音されるべきなのでしょう。

しかし、日常的に大和言葉も使っているうちに、混同してきたのだと思います。

記述の中で、(阿)(花)と有るのは、それぞれ阿伝(あでん)、花良治(けらじ)の村名を示しています。

文末に記述した曲名には、ユイスラ節と紹介されています。

資料として参考にしたものは、4、50年ほど前に発表されたレコードに添付されていた説明文からの抜粋です。

曲名かんつめ節も、表記では「かんつめ」ですが「め」の発音は「め」と「い」が合わされて「めぃ」となり、「くるだんど」は「ど」と「う」と合わされて「どぅ」となります。

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母からは古くから伝わる民話を聞かされていました。
そんな影響があったのでしょう。
数えで60になった頃、この会に入りました。
覚えるのが一苦労ですが、民謡を習うことで、両親が育った故郷をよりよく理解できるようになりました。

両親が生きている間に、唄を聞かせる事ができませんでしたが、ある時叔母に電話口で三線を弾き、聞いてもらったことがあります。
叔母、短歌の心得があります。
その時の印象を手紙に短歌を書き、伝えてくれました。

叔母より、「君が弾く三線の音 嫋嫋(じょうじょう)と 受話器に伝うを 息詰めて聞く」

返歌 「蛇皮線の撥の弾きに 思い乗せ 奏でし音色 懐かしゃ届く」

参考のため18の曲名を列記します。

 

・朝花節

・ユイスラ節

・俊良主節

・糸繰り節

・野茶坊節

・むちゃ加那節

・節田マンカイ{注} 節田(せった) 笠利地方にある地名、「マンカイ」は招くという意、豊年の祭りに神様を招く、会長より説明を受ける。

・八月踊り・祝いつけ唄

・六調

・くるだんど

・諸鈍長浜節

・かんつめ節

・稲摺り節

・諸鈍芝居・ここは節

・大島手まり唄

・徳之島ちゅっきゃり節

・渡しゃ節(喜界あ渡し)

・永良部百合の花

 

 

 

コメントが 10件あります

  1. ピンキーさんより2013年9月27日4:30 PM

    シマ唄はいいですね~!!
    私も2年前に、このホームページでこの会のことを知り
    入会しました。
    いよいよ2週間後に、2回目の発表会です。緊張するな~
    でも楽しいっ!!!
    これを読んだ方、少しでも奄美のシマ唄、サンシンに興味があれば
    ぜひ見学にいらしてくださいね。

  2. 有限会社フジックス 上野2013年9月27日4:58 PM

    ピンキーさん!
    コメント有難うございます。
    ホームページを通じて、”東京奄美サンシン会”を紹介出来てよかったです。
    私は、両親が喜界島の出身、幼少の頃より島唄を聞く機会がありましたが、関心はなかったです。
    でも、どういう訳か50過ぎた頃から関心が芽生え、教室を探せないまま9年が過ぎた頃、インターネットを通じて当会を紹介してもらいました。奄美民謡を学ぶことで、両親の故郷の文化を深く理解できるようになりました。
    奄美民謡を唄っている自分を見たらさぞかし両親は喜んだであろうと想像します。
    母は歌がうまく、父は太鼓、踊りは村では名人といわれていました。
    何年か前、父の同級生の前で”いきゅんにゃ加那”を唄い喜ばれたことがあります。
    下手でも兄弟より近しい同級生の倅の島唄に感動し涙してくれたこと今でも忘れません。
    上手い下手関係なく80を超えた年寄りには心に響くものがあったのだと思います。
    奄美民謡の特徴、哀切、哀歓、哀調などの形容詞で表現される島唄はとても魅力的です。
    是非当会で奄美民謡を習ってはいかがですか。
    ピンキーさん、発表会頑張ってください。

  3. ともさんより2013年10月5日5:04 PM

    お疲れ様です。
    教室ではお世話になっております。
    私は奄美に育ったのですが、シマ唄は年寄りの娯楽というイメージしかなく、全く興味無かったのですが、島を離れてだんだんと三味線の音が心地よくなって来まして、亡くなったお祖父さんの三味線を譲り受けシマ唄を習う事にしたのです。
    そして、東京でシマ唄活動をしている友人に幾つかの教室などを紹介して貰った中で、最も体制がしっかりとしていて、大きな発表会をしているという事でこちらに決めました。
    また、会費もとても安くて助かりますし、趣味の仲間に出会えると言うのもとても楽しいです。
    興味のある方はどんどん見学に来てほしいですね。
    今後ともどうぞ宜しくお願いたします。

  4. 有限会社フジックス 上野2013年10月5日5:17 PM

    ともさん、
    コメントありがとうございます。
    島唄を習う切っ掛け、入会された方様々と思いますが、ともさんの場合、おじいさんが切っ掛けのようですね。
    私は、飯田町で育っていますが、昭和22年親父が仲間と小野津会の設立にあたり、その打ち合わせと称し家で宴会を開いていた際に島唄で遊んでいました。いわゆる唄あしび、毎年行われた小野津会には生後半年ぐらいから参加し、島唄を聞いていたのです。同様に私らの世代民謡はお年寄りがやるものとの認識でしたが、しかし50過ぎてから奄美民謡に関心が向き、当会を知って入会した次第、父、母が親戚など集うたびに唄あしびした気持ち今はよく理解できるようになりました。
    一つでも多く唄えるよう稽古したいですね。

  5. だいちゃんさんより2013年10月7日5:09 PM

    こんにちは。いつもブログを楽しく拝見しています。
    楽器ってほんとうにいいですね。
    自分で楽器を奏でながら歌う、とっても楽しいですね。
    わたしは独学でウクレレをやっております。
    こちらのように教室があればぜひとも思いますが、地方だとなかなか。
    なのですごくうらやましいです。
    これからもブログ楽しみにしております♪

  6. 有限会社フジックス 上野2013年10月7日6:16 PM

    だいちゃんさん、
    コメントありがとうございます。
    ウクレレがご趣味、いいですね。
    楽器としては小さいですから、もっていくには便利な楽器。
    そしてさらに上達すれば幅広い表現もできますね。
    奄美民謡を稽古して8年目、サンシンそうですが、唄を歌うこと、知れば知るほど自分の声を楽器にしていく作業は興味深いです。声帯を音源として共鳴体が身体とイメージしてシマ唄に取り組んでいます。
    これからも情報発信をしていきますので、ブログを読んでいただければ幸いです。

  7. 米の祝福さんより2013年10月10日12:28 PM

    社長、こんにちは。
    作曲者不詳が多いとのことですが、基本的に唄あしびの中で育まれたものだからなのでしょうかねぇ?

  8. 有限会社フジックス 上野2013年10月10日12:52 PM

    コメント有難う御座います。
    いいご指摘です。
    沖縄・薩摩植民地時代からサトウキビ造りで苦役を強いられた時代が長くありました。
    そんな環境で、唄あしびが思いを和らげる働きが有ったのでしょう。
    労働を終え、疲れをいやす効果もあったのかも。
    唄も、労働歌、恋愛歌と、ヨイトマケじゃないですが、辛い労働に耐えるため唄い、また憩いの場では抒情的な詩文で癒しを求めたのが原点なのでしょう。
    それが、唄あしび。
    これも昔の万葉時代の短歌じゃないですが、即興で詩を作り掛け合いを楽しんだようです。
    そういう意味では、娯楽として詩的能力が求められたのでしょう。

  9. ボブさんより2013年10月10日4:06 PM

    こんにちは。いつもブログを楽しく拝見させていただいております。
    奄美民謡教室楽しそうですね。このブログがきっかけで始められた方もおられるのではないでしょうか?
    私も長く付き合える趣味を持ちたいものです。続報楽しみに待っております。

  10. 有限会社フジックス 上野2013年10月10日4:19 PM

    ボブさん、
    コメント有難うございます。
    このブログで、入会されたかたもいます。
    ここ数年の特徴的なことは、奄美出身者でない本土の人が奄美民謡に関心を抱いているということです。
    私、小さい頃から奄美民謡を聞く機会がありましたが、世代的には洋楽が主流の時代、パット・ブーン、エルビス・プレスリー、リッキー・ネルソン、ベンチャーズ、ビートルズ、加山雄三などの唄に惹かれた世代、しかし、齢とともに奄美民謡に興味を持つようになって、現在に至っています。
    若い頃、見えなかったものが見えるようなになったのかと理解しています。
    また、折に触れ奄美民謡の話題に触れてブログを書きますので、是非読んでください。

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