続き・・・
・・・次は和銅、これは少し下品な方だが武蔵国秩父郡から自然に鍛錬された熟銅が出たというので和銅としたのです。・・・
秩父には墓参りでよく行くので、和銅の看板を見掛けたことがります。多分遺跡の案内と思いますが見学した事がありません。
※元明天皇の時代に武蔵国秩父郡(現在の埼玉県秩父市)から自然銅(ニギアカガネ)が発見され、708年(慶雲5年)正月11日に朝廷に献上された。これを大いに喜んだ元明天皇は、同日に元号を「和銅」に改元し、その後、日本最初の流通通貨となる和同開珎を発行した。その和銅が採掘されたとみられる露天掘跡は、今なお残されており、1922年(大正11年)には埼玉県指定史跡、1961年(昭和36年)に埼玉県指定旧跡となった。
今度行ってみようかな。
珍しい出来事など起きることも改元する動機にもなるのか!
・・・その次は霊亀(靈龜)、これは左京の高田首久比麿(たかだすくひまろ)が長7寸幅6寸で左の眼が白く右の眼の赤い亀を献上したというので、靈龜と改元したのであります。しかもこの二つ瑞祥(めでたいことが起こるという前兆。吉兆。祥瑞。「―が現れる」)が元明、元正両天皇の御即位された年であったという事は不思議な話であります。・・・
※元明天皇:生]斉明7(661)
[没]養老5(721).12.7. 奈良
第 43代の天皇 (在位 707~715) 。奈良朝第1代の女帝。名は阿閇 (あべ) 。天智天皇の第4皇女。母は蘇我姪娘 (そがのめいいらつめ) 。天武天皇の皇太子草壁皇子の妃となり氷高皇女 (→元正天皇 ) ,軽皇子 (→文武天皇 ) を産んだ。草壁皇子,文武天皇が夭折し,その皇子 (のちの聖武天皇) が幼少であったため即位した。おもな事績は,和銅1 (708) 年の和同開珎の鋳造,同3年の平城京遷都,同5年の『古事記』,および翌年の風土記の編纂などである。霊亀1 (715) 年,位を氷高皇女に譲る。陵墓は奈良市奈良坂町の奈保山東陵。
※元正天皇:[生]天武9(680).大和,飛鳥
[没]天平20(748).4.21. 奈良
第 44代の天皇 (在位 715~724) 。奈良朝第2代の女帝。名は氷高 (ひだか) ,日本根子高瑞浄足姫尊 (やまとねこたかみずきよたらしひめのみこと) 。父は天武天皇の皇子草壁皇子。母はその妃阿閇 (あべ) 皇女 (→元明天皇 ) 。皇太子首 (おびと) 皇子 (→聖武天皇 ) が幼少のため母元明天皇の譲を受けて即位した。養老2 (718) 年には『日本書紀』ができあがり,同7年には三世一身の法が打出された。辺境に隼人,蝦夷の反乱もあり,内外多端であった。神亀1 (724) 年聖武天皇に譲位。陵墓は奈良市奈良坂町の奈保山西陵。
・・・それから元正天皇が美濃の當耆郡多度山(たきぐんたどやま)に霊泉が出るというので、其の山へ行幸して入浴されたから養老と改元、その次の聖武天皇の元年を神龜というのは、左京の人が白い龜を獻つたからであります。それから5年後に又龜を獻(たてまつ)るものがありました。ところがその龜(亀)の背に『天王貴平知百年』と云う文字が自然に書かれてあったというので、天平と改元しました。其の次に陸奥から黄金が出たというので、天平勝寶(てんぴょうしょうほう)と改元しました。
此のように不思議な現象があれば、善政が天に應(応)じたと思ったので、儒者に下して勘文をたてまつらせ、その判斷(断)によって国家の吉事として改元を行ったのです。・・・
吉祥、吉事、瑞祥などの単語で現されている目出度いことなどがあると昔は改元したのですね。
私の印象では、凶事などがあった時の方が改元していたのかと思っていました。
※勘文:かもん」「かんがえぶみ」とも読む。平安時代,朝廷の諮問に対して前例の故実などを調査し,上申した意見文書。おもに太政官の外記 (げき) ,史 (ふひと) ,明法 (みょうぼう) 博士,陰陽 (おんみょう) 博士などが行なった。
※左京:《内裏から南を向いて左側の意から》平城京および平安京を、朱雀大路(すざくおおじ)を境として東西に分けた東側。東の京。⇔右京。
京都市北東部の区名。鴨川の東、三条通りの北の地域。
・・・これは決して年号を安っぽく見たのではありません。当時の年號といふものは今日(明治の代)の憲法や皇室典範の様に大事なものでありまして、これを改むるといふ事は国家の運命に関する重大事件と思ってゐたのであります。西洋では基督の降誕した事を元年としてゐますが、日本では天から瑞祥を下して改元させてくれたのです。・・・
ここで3項「改元」の記述は終わっています。
ここまで読んで感じた事、政治を善くしていこうといふ思いからと当時の科学的な知識(秘伝)を駆使して世の中を安泰しようと考えていた事が分かります。時代は変われどそれが政治家の務め、今の日本に欠けているのは国民の安寧に掛ける思い、自国民をないがしろにし主権を踏みにじられた国と堕しているのでは?
国、国家とは基本的に国を愛し価値観、道徳律、歴史、文化を共有する人々が居てこそ成り立つべきもの、今こそ日本人は覚醒すべき時なのでは!?
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