何度見ても面白い!『隠し砦の三悪人』

この映画、中学生の時、主演の雪姫役を一般公募していた記事が新聞に載っていたので記憶にしっかりと残りました。

多分この記事から黒澤明監督の存在を知ったのだと思います。

封切りと同時に鑑賞したと思いますが、いつ頃だったかは、ちと記憶があいまいです。

これ以降、黒澤明監督のファンとなりリバイバル映画を見ていました。

「七人の侍」は池袋文芸座で見ていますが、字幕が英語版のフィルムでした。

他に「酔いどれ天使」「野良犬」などを見ています。そして、「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」「赤ひげ」「どですかでん」など。

封切られる度に見たものです。

黒澤作品の中でも「隠し砦の三悪人」はとても気に入っています。

『隠し砦の三悪人』(かくしとりでのさんあくにん)は、1958年(昭和33年)12月28日公開。

彼がジョンフォード監督が好きだというように、乗馬のシーンが格好いいのです。

それと惹かれる科白があるのです。

戦国の世、戦に敗れ砦に身をひそめる秋月藩の雪姫。

一場面に、洞窟で家来真壁六郎太(三船敏郎扮する)が、自分の妹が雪姫の身代わりとなって死んだことを告げ、身の安全が確保できたと報告すると、「嘘じゃ小冬も16、姫も16なんぞ命に変わりはないぞ、妹が死んだというに涙一つ流さぬ六郎太のその忠義顏!」と怒り、弓杖で叩こうとすると老婆の従者の窘められて洞窟から出て泣く場面が上の写真。

老婆が放った言葉、「忠義に殉ずるは臣下の面目」は印象的だ。

六郎太、姫の立場を察し秋月藩の再興を担う苦しさを察し、従者に「姫こそ一番つらいお立場である。」と話すのであった。

宿命を背負う重圧に負けぬだけの心情があればこそ涙すると受け止めました。

いい場面だ!

他に特に印象に載る場面が、敵側の武将、田所兵衛(藤田進)と真壁六郎太(三船敏郎)の決闘場面。

殺陣を付けたのが、香取神道流師範杉野嘉男氏、この槍での戦いが迫力満点、当時の時代劇とは全く違い実戦は「かくあろう」と思わせるものです。

場面にして5分くらいは割いて居たとおもう。

決着は六郎太が勝つのですが、その場を去ろうとすると、兵衛が首を刎ねろというが「また会おう」と言って別れます。

此の温情が後に、兵衛の殿様の怒りを買うこととなり、顔に鞭の傷をつけられる羽目になってしまう。

この面構えいいですね!

メーキャップの技術だね。

 

この場面では、田所兵衛、真壁六郎太に決闘の際、負けて首を刎ねずに命を長らえた事で殿様から怒り買うことになり万座のなかで、鞭でしたたか叩かれこの顔になったと恨みつらみを吐き、「勝負に負けた己が助けられたことほどつらいものはない」と。

それを聞いた雪姫が放った言葉が以下の記述!

雪姫、敵の大将・田所兵衛に向かって

「愚かな。これが音に聞く田所兵衛か。人の情けを生かすも殺すも、己の器量しだいじゃ! また家来も家来なら、主も主じゃ。敵を取り逃がしたといって、その者を満座の中で罵り打つ。このわがままな姫にも ようできぬ仕業じゃ」。

16歳の設定ですが、物語とは言えリーダーとしての自覚を求められる「姫」としての言葉と感じ入るところです。

雪姫、打ち首を覚悟して、

「姫は楽しかった。この数日の楽しさは、城の中では味わえぬ。装わぬ人の世を、人の美しさを、人の醜さを、この目でしかとみた。六郎太、礼を言うぞ。これで姫は悔いなく死ねる。」

「ことに、あの祭りは面白かった。あの歌もよい。(以下、詠う)「人の命は 火と燃やせ 虫の命は 火に捨てよ 思い思えば 闇の世や 浮き世は夢よ」

あの火祭りの思い出を回顧して歌った歌が太字の部位。

踊りの場面も素敵でした。

確かSKDのダンサーが踊っているので迫力満点の場面、さすが黒澤監督!!

そしていよいよ、3人(雪姫、六郎太、村の娘)が刑場へと連れて行かれる時、姫は秋月藩の方向に振り返る。

その時です兵衛、人の命は 火と燃やせ 虫の命は 火に捨てよ 思い思えば 闇の世や 浮き世は夢よ」と詠いながら、縛り縄を槍で切り逃がしてやるのです。

兵衛、自分の家来たちに裏切り、御免!」、と叫び槍をもって雑兵を追い散らすのです。

田所兵衛、雪姫と六郎太に向かって天晴れ! 正に将たる器。大事にせい!」、

雪姫、味方を裏切り雪姫たちを救ってくれた兵衛に向かって「犬死に無用! 志あらば、続け!」

科白部記述ネットより引用。

この場面など、首実検に来た田所兵衛が姫としての技量を認め、殺すのは惜しいと感じさせた科白が格好いい!人の情けを生かすも殺すも、己の器量しだいじゃ!」

そして、馬を奪い姫に続くのであった。

この場面が馬を駆って峠道を駆け抜ける所が西部劇ぽっい。

娯楽映画としての黒澤監督の真骨頂!!

この場面など、逃げることができて良かったと見ている者を「ホットさせる」!

 

ラストシーン、映像美がいかんなく発揮された場面です。

構図がいい、左から田所兵衛、中央に雪姫、右に真壁六郎太。

そして百姓、業突張りの太平、又七に褒美として金子を渡す場面、雪姫がおもむろに前に歩み寄る場面など、「能舞台」を想像させるほどの様式美の場面となっている。

真壁六郎太が褒美を与える場面、黄金200貫には及ばないが、大判を上げてめでたしめでたし。

こうなってよかった!と思う場面でした。

 

 

 

 

 

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