北京オリンピックを観て

8月24日閉幕した北京オリンピックで、私に一番印象に残った競技はトラック競技400メートルリレーでした。予選レースでアメリカ、イギリスなどの組がバトンミスで失格となり、僅かですが決勝戦に期待感がもてました。
決勝レースは遅かったので中継では見ませんでしたが、結果が気になって翌日のニュース番組で何度も見て、その度に身を乗り出して見入ってしまいました。アンカー朝原選手が3位でゴールする場面は何度見てもワクワクしました。
私達の世代の者は、オリンピックのトラック競技でメダルを取るなんて日本にとって夢の又夢見たいな感じがするくらい無理と思っていた人が多いと思いす。短距離走で決勝すらなかなか出られなかった日本です。
戦前、1936年ロサンゼルスオリンピック100メートルでは暁の超特急と呼ばれた吉岡選手ですら、決勝6位。しかし、日本人選手で100メートルの決勝の残った人は出ていません。
そのような状況にある短距離走でメダルを獲得したのです。
最近400メール高野選手、はじめ為末、末續選手などの活躍が目立ち陸上競技でもトラック種目が強くなってきたなとは感じていましたが。
しかしリレーでメダルを取れるなんてびっくりしました。
実際に銅メダルを取ったのです。当の選手達もインタビューに答えてメダルを首にかけるまでは信じられないと答えるほどのものなのです。
80年ぶりの偉業とニュースは報道していましたが、私にはその様な表現以上のものを感じます。
なぜなら、子供の頃、ヘルシンキ、メルボルン、ローマ、東京オリンピックをニュース、テレビなどで見ていましたが、日本が強い種目、体操、レスリング、水泳などではメダル獲得していましたが陸上競技はさっぱりだったと記憶しています。
当時、活躍した選手、体操では鉄棒の小野喬、女子体操では池田敬子選手、レスリングの笹原正三、水泳では潜水泳法の平泳ぎ古川選手、自由形の中山毅などが記憶にあります。しかし、陸上競技トラック種目ではメダルを取れていません。
余談ですが、東京オリンピックの時、当時通っていた高校の先生がチェコスロバキア、女子体操チャフラフスカ選手の体操演技を見たのでしょう。金メダルを取っていますが、彼女がよほど素敵に見えたのでしょう。授業中我々の前で、チャフラフスカは『いい女だ』と感想を漏らした記憶があります。教師という立場にある先生の表現としては多少驚きましたが、男から見るとそう思えるのは私なりに理解できました。
男の本音が出たのでしょう。
今の女子体操競技は軽業師的な色彩が強く、当時の女子体操のような優美さはなくなりました。残念なことです。
東京オリンピックで100メートルに期待された飯島秀雄選手も確か決勝戦には進出できなかったと記憶しています。この方、後にプロ野球に入り盗塁専門に足を生かしてプレーしたのですが成功しませんでした。
野球の走りと短距離走では技術が違ったのだと思います。
100メートルではイギリスのハリー、アメリカのヘイズが優勝候補で、ヘイズが金メダルと記憶しています。10秒で走れるかが話題になっていました。
ヘイズは後に、アメリカンフットボールに転向しました。
当時、アマチュアリズムがあり陸上では金にならなかったのでしょう。
他に、女子では80メートル障害の依田郁子選手が期待をされていましたが5位入賞でメダルには届きませんでした。
東京オリンピックマラソンで銅メダルを取った自衛官の円谷選手、他に重量挙げ三宅選手、大松監督率いる女子バレー、東京オリンピックから正式種目になった柔道、レスリングの選手達がメダルを取っています。
当時、私は高校の2年生でした。テレビでオリンピックを見ていましたが、親が知り合いからサッカーの入場券がもらえたので、行って来いといわれオリンピック見物のつもりで行き、サッカーを観戦したことが思い出になりました。
ただ、当時、サッカーは人気がなく入場者が少なかったと記憶しています。私もサッカーにはほとんど興味はありませんでした。
しかし、釜本、杉山選手などの名前は知っていました。この後のメキシコオリンピックでこのメンバー達が銅メダルを獲得するのです。
私の東京オリンピックでの一番の印象は開会式と閉会式です。
坂井義則選手が聖火を持って走り、聖火台を点火し炎があがるとともにハトが放たれたシーン。昭和天皇独特の甲高い声の開会宣言も印象に残っています。
入場行進などは今と違って、行進曲にあわせ整列し行進するのです。きちんとした行進を見ているだけで興奮を覚えました。各国の選手達が歩調をあわせ、胸を張り姿勢を正して行進する姿に美を感じるくらい感動ものでした。
当時、私の経験でも学校の運動会の入場行進はそうしていました。その影響もあるのでしょう。
閉会式は開会式と全く違って、整列はせず、選手達が自由に歩きながら入場してきたのです。このシーンも印象深かったです。演出だったのか自然とそうなったのか知りませんが、国境を越えて、いろいろな国の人たちが肩を組み、手をつなぎ、自由に振舞い世界が一体となっているような雰囲気を作っていました。
このシーンの印象があまりにも良く思え、後のオリンピック、ロサンゼルス頃からかと思いますが、開会式、閉会式の演出が派手になり、時間も長く、だらだらと演目を続け、競技会に似つかわしくない気がして興味がなくなりました。
北京オリンピックの開会、閉会式は観ていません。ニュースで見る程度です。
ただ、感心するのが出場している選手たちの練習にかける時間と持続性。
全人生をオリンピック出場にかけて練習に没頭する姿勢には驚嘆です。
それぐらいしなければ出られないオリンピックは凄いと言うしかありません。
朝原選手はオリンピックに4回も出ている、それだけでも改めて凄いと思います。それにしても、引退を決意した後、再度挑戦した結果が銅メダル、本当に良かったと思います。
このような、オリンピックに出るような選手はぎりぎりまで身体能力を高め、特化した技能を獲得するのでしょう。
そのような専門的取組をする人たちがいる一方で、以前より、私が気にしている事があります。一般の人達の平均的身体能力が落ちているのではないか。
10年ほど前ですが、合気道を習いに来た20代半ばの青年に基本動作を指導していた時、上半身が前屈みの半身体勢になったとき倒れたのです。この稽古は相手を倒す動作ではないのですが、倒れたのです。私は「えっ」と言う感じで多少の驚きを感じました。
『お前、何で倒れるのだ。バランス感覚が悪いなと』と声を掛けつつ、質問しました。『お前、子供のころ相撲をしたことがあるかと』聞いたのですが、『ありません』との返事でした。
その返事でなんとなく倒れる理由を理解しました。
私は子供の頃、遊びで相撲を良くやりました。相撲のような格技することで、投げられまいと踏ん張ったり、腰を落とし相手を押そうとしたりする動作でバランス感覚などを知らず知らずに身に付ける事が出来るのでしょう。
私達の世代、子供の頃身体を使う遊びがほとんどでした。
相撲、飛び馬、蹴り馬、綱引き、面子、ローラースケート、ベーゴマ、ケン玉、独楽、S字、缶蹴り、キックボール、ドッジボール、竹馬、B玉、釘倒し、などなど。
昔と違って遊ぶ環境も変わり車社会になり道では遊べなくなり、空き地が減り、公園でも制約があり、キャッチボールすら出来ないケースが増えてきた。屋外より屋内で出来るゲーム機など、小手先で済む遊びが主流なのでしょう。そんな遊び方が身体能力を高めることを阻害しているのでは。
転んだ時、手をつけず顔から倒れる子供がいるなどの話も聞いたことがあります。考えられない話です。
当社の男性従業員ですが、20代半ば、身長176cm体格も良く、私より一回り大きいのです。前述したような考えを持っていた私は試そうと思い※インデアン相撲をしようといってしたのですが、やはり私に勝てません。
腰を割って安定させる所作が身についていませんでした。
彼に質問しました。『相撲したことある』と、やはり『ない』との返事でした。
※ インデアン相撲は半身に立ち、前足のつま先を合わせ握手した状態で引っ張り合い足が動いた方が負け。
今頃の子供は相撲で遊ばないのでしょう。
やはり若い男性従業員ですが、私は気になることがあるので注意したのです。
それは、歩く時肩を僅かに左右にゆすりながら歩き、腰が僅かに曲がっているのです。
直そうと思い、私は気をつけの姿勢を取らして、立つ時の重心位置を調べてみたのです。
調べ方は、前から指で軽く押すのです。正しい重心が取れていないので後方に簡単に動いてしまうのです。かかとに重心があるからです。
それではだめだよと言い、親指付け根に重心が掛かるようにして腰を伸ばせといったのですが直りません。
正しい姿勢をとる意義を大切なものと思えないのでしょう。
ヒト科と言う動物のレベルで人を考えてみても、生き抜く上で身体能力はある程度の水準までは必要だと思います。
我田引水と成りますが、私が稽古している合気道はもってこいと思うのです。
例えば受身です。私自身も身に付けていたお陰で危険を避けられた経験があります。数名の後輩からも身に付けていたお陰で頭を打たずに済んだ話を聞いたことがあります。受身は倒れこんだ時、如何に頭を守るかが稽古の目的になります。
それに身を守る術、危険回避の心得が身に付きます。
稽古は型の反復練習でします。
競技化していないので無理なく行えます。複雑な動きが求められるなど体育的側面からも中学校の体育の正課としてはどうでしょう。精神面、技術面では、合気道の骨子が『調和』です。
いいと思うのですが。

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