合気道の稽古の経験から、日本刀の操法を学ぶ必要を感じて初めたのが居合でした。
合気道は、体術、剣術、杖術とあり、武器も使う武道です。
開祖植芝盛平が鹿島新当流を学び、それに合気の理合を組み込みだものが合気剣術と呼ばれています。
近くに居合の道場があったことも幸いし、平成5、6年頃に稽古を始めました。
実際日本刀を用いて稽古していると木刀だけでは気付かなかった、刃筋を通す等斬る上で注意しなければならない技術を理解出来ました。
故あって15,6年程中断していた稽古を去年10月から再開しました。
動機は健康造りが主な目的です。
私が稽古している居合術は夢想神伝重信流ですが、他に思い浮かぶのが、無外流、伯耆流、田宮流、無双直伝英信流、水鷗流、民弥流があります。
そして一般に知られているのが全日本剣道連盟が、剣道を習っている者たちに真剣の操法を教えるために作られた「全剣連居合」があります。
これに拠り競技化され広く普及したようです。
居合の指南書
再開に当り、身体の柔軟性を戻すため合気道で知った真向法体操もやることに、6年前までは毎日行っていたのですが、大きな手術をしたので用心に止めていたのです。体を戻すのに苦労したのは開脚した状態で床に腹を付ける動作、毎日毎日強制的に両脚を開き、尻を床に付ける動作を2ヶ月間ほど続けてやっと戻しました。
股関節が柔軟になる体操です。
日曜日週1回の稽古ですが、10ヶ月ほど経って体に練りを感じ動ける力が付いてきました。
居合は型稽古で業を習得していきます。
私が始めた頃はYouTubeが存在せず、ビデオ、DVDなどを買い求め先人たちの演武を観て稽古の糧にしていました。
がしかし今ではYouTube で観られるようになっているのです。
これは本当に素晴らしい事です。
半世紀以上前の先人らの演武も見られるのです。
このような映像を参考にしながら稽古していますが、さらに驚いた事は大勢の外国人が自身の動画を掲載して技量を発表しているのです。
この動画では、ドイツで行われた「全剣連制定居合」の競技大会の様子ですね。
着ている道着も定められた服装となっています。
ここまでになっているとは、居合の普及の広さに驚いています。
明治時代に新渡戸稲造が書いた「武士道」が世界中でベストセラーになっています。
19世紀末になるとヨーロッパでは柔術が盛んになりそれと相俟って柔道も普及していきます。
このような時代の流れに呼応して合気道、居合道が普及したのでしょう。
海外に「サムライ」のイメージを定着させたのは、黒澤明、三船敏郎コンビで製作した映画の影響が大きいと私は推測しています。
彼等にとっては、袴、刀イコール「サムライ」のイメージに浸れる衣裳であり道具なのでしょう?
YouTubeの動画から見て取れます。
憧れもあるのではないでしょうか?
日本人と違いアナクロニズムに関係なく、彼らは精神修養を実践する道として武道を心得ているようです。
結びに、大森曹玄が著した「剣と禅」から引用し彼らの武道に対する心構えを紹介します。
昭和45年(1970年)第一回の世界剣道選手権大会に参加したヨーロッパ圏の2、3人の団長が全日本剣道連盟会長木村 篤太郎氏に語った言葉です。
当時、武道を稽古をする者にとって必読と言われた本。
「私たちは野球だとかラグビーだとか、かってそれぞれのスポーツをやったものばかりである。それが剣道に転じたのは、剣道はそれらのスポーツができないような年齢になってからもできるからだ。私たちは日本の若い選手たちと勝敗を争って、選手権をとろうなどとは考えていない。本当の剣道を学ぶことによって、日本の古武士のような風格をみにつけたいためにやるのだ」と・・・・・・
外国では残らなかった「刀剣の殺傷技術」を日本では「精神修養」の道として「剣道」「居合道」と成立させた先祖様がいればこそ西洋列強国と肩を並べることが出来るのだろう。
いや、それがあればこそリスペクトされる大和民族なのではないでしょうか!?
居合が普及した理由はそこにあるのでは?
コメントを残す