ヒト科の人(ヒト) 能(脳)力低下が心配?

最近、テレビ番組で私が気掛にかけていることを報道していました。
11月上旬、テレビ番組で幼稚園児ができないことを3つ挙げて紹介していました。時間がなくテレビからはなれて、ひとつの事例しか見られなかったのですがその一つが「しゃがめない」事でした。
和式便所が減って日常的にその動作ができなくなったのでしょうか。大腿筋、臀筋を使う機会が減って弱っていると説明していました。
驚きです。
そいえば、何時の頃か「うさぎ跳び」は膝によくないと言い出した人がいた事を思い出します。
私は、学生時代、うさぎ跳び、スクワットなどで鍛錬させられました。
だいぶ前から私自身の中で心配なこととして気に掛けていた事とダブるのです。子供が転んだ時、手をつけないで顔をぶつけてしまう子供がいると耳にしていた事とほぼ同じ現象に思えるのです。
ヒト科の人の定めで身体、頭(脳力)も、使わないと「ノウリョク」は低下するものと相場は決まっていると考えるからです。
その実例として、以前ブログ「北京オリンピックを観て」で記述した部分を引用し説明します。
合気道を指導していた頃です。
『10年ほど前ですが、合気道を習いに来た20代半ばの青年に基本動作を指導していた時、上半身が前屈みの半身体勢になったとき倒れたのです。この稽古は相手を倒す動作ではないのですが、倒れたのです。私は「えっ」と言う感じで多少の驚きを感じました。
「お前、何で倒れるのだ。バランス感覚が悪いなと」と声を掛けつつ、質問しました。「お前、子供のころ相撲をしたことがあるかと」聞いたのですが、「ありません」との返事でした。その返事でなんとなく倒れる理由を理解しました。私は子供の頃、遊びで相撲を良くやりました。相撲のような格技することで、投げられまいと踏ん張ったり、腰を落とし相手を押そうとしたりする動作でバランス感覚などを知らず知らずに身に付ける事が出来るのでしょう。』
これは一例ですが、私等が子供の頃より相撲で遊ぶ機会がなくなっていることから推察して、明らかに安定を図るバランス感覚が身に付かなくなっていると考えられます。
身体能力の低下として気にしている点です。
あるテレビ番組で、スポーツライターの二宮清純がスポーツ記者に相撲の説明をした時の経験談で、「前褌(まえみつ)」と云う言葉を使ったのですがその記者は分からなかったそうです。
これなどは、相撲で遊ぶ機会が減っている証でしょう。
相撲をすれば自然にそのような能力が身に付く事と同じ現象と思える事例ですが、逆な現象として、住居が高層化し高い所で育っている子供が増えて、高所恐怖症でなく、子供が高い所を怖がらないため転落事故が増えているとテレビで報道していました。
子供は特に環境に順応していくものだと思います。
次に触れたいことは、テレビ番組で「言語力低下」と題して、若い人たちの言葉の表現能力が落ちている事を取り上げていました。
この番組を観た時、やっぱりと思ったのです。
やはり、ブログ「意思疎通、情報伝達の意義(副題 上司の責務)」で言葉の表現能力、別な言い方でコミュニケーション能力が落ちているのを心配して書き綴っていたのです。
重複しますが、使わなくなると能力が身に付かない一端として、言語力低下の一因をついていると思うので引用します。
下記の文章、私のブログの感想文の一部です。
「世の中の傾向として、相手(お客様に限らず、関わりのある人全員ですが)が何を望んでいるのか、何を聞きたいのか、どういう回答を期待しているのか、最近、そういうことを察知する「感度」が鈍くなってきているように思います(私を含めてですが)。これは私見ですが、現代の通信機器の発達も起因していると思います。携帯、メールによりコミュニケーションの数が飛躍的に増えたと思いますが、顔を合わさないコミュニケーションなので、相手がどんな表情をしているのかとか感情の微妙な変化がわからないと思います。また、携帯メールは一方的な発信の最たるものであって、相手の反応は通信文章ですし、しかも返信までタイムラグがありますから相手の本音を感じ取ることが出来ません。そういう状況では、やはり相手の気持ち、感情をすぐに察知して対処する能力が伸びないのではないかと思います。・・・・」
テレビ番組では、実験である事柄について説明してくださいと若者に発言を求めるのですが、口籠って「・・・・・・」でした。
最近ですが、これに似た事をOB会で見せられました。
現役学生が演壇に立って40人ほどいるOBの前で挨拶となり、最上級生から始まったのですがあがっていた所為も有るのでしょうが、言葉にならないのです。それ以降OBから声がかかり、名前だけでもいいからと言って自己紹介を挨拶に代えていました
学校教育では「言語力検定試験」を設け教育して、身に付けさせるように取り組んでいるとの事。
これなども、普段日常生活の中で学べていたことが、機会が無くなり表現力が削がれている結果ではないでしょうか。日常的には支障はないのでしょうが、より上質な表現を求められる時、出来ないということは社会人として見る時、やはりマイナスな事と思います。
私が経験した遊びを上げると次のようなものがあります。
相撲、飛び馬、蹴り馬、綱引き、面子、ローラースケート、ベーゴマ、ケン玉、独楽回し、S字、缶蹴り、キックボール、ドッジボール、竹馬、B玉、釘倒し、などなど。
これらの遊びなど仲間同士が集まって行い、コミュニケーションを取りながら、ルールに則り「あーだ、こーだ」と明確な意思表示を自然と行っています。
こんな経験などがベースになって大人になってから役に立つようになっていたのでしょう。
新しい通信手段である携帯電話、メールの出現でコミュニケーションの仕方が変化し、
少子化も進み、兄弟も少なく、従兄弟同士の親戚付き合いがなくなりつつある子供社会では会話の時間が減り、且つ1人で遊べるゲーム機が主流になっている現状から推察して当然の結果と感じます。
もうひとつのテレビ番組は、対談形式のもので出演されていた方は、二宮清純、貴乃花親方、草野仁アナンサーがいろいろな事柄に触れ、それを対談しながら進めていくものでした。
前述したスポーツ記者が相撲についての知識が足りないことも話題にしていたのです。私が興味を引いたことは、若者の育て方が話題に上がり、貴乃花が考え方を話していた事です。弟子は我が子、生活の中で躾をし、私生活を律することで教育するということなのでしょう。たとえば、履物を揃えるなど、日常的に当たり前の事柄を教えるなど。
稽古に取り組む心構えとして、同じ事を繰り返す強い執念を持つことの大切さにも触れていました。この話を聞いて、なるほどナーと感じ入りました。「平成の大横綱」といわれるまでになれたのは、そのことだと思います。
合気道、居合いなどの稽古にも通じるものがあります。
二宮清純が貴乃花のエピソードを紹介していました。現役の頃言った言葉として、「早く老人になりたい」といったそうです。
貴乃花は横綱を張る大変さから、ある意味解放されたいと思う気持ちからそのような言葉を口にしたそうです。
私、前々から思っているのですが、年4場所にした方が力士生命は延びると考えていますが、興行的に収入の減少に繋がるからダメなのでしょう。
それにしても、横綱、精神的、肉体的に相当苛酷な立場なのだと思います。
相撲部屋は師匠、親方といわれる人と生活し稽古に励むやり方は、昔の剣術道場の修業と全く同じ方法です。
昔は「薪水の労」をとりながら、日常生活を共にしながら稽古し修行に取り組んだのです。薪を割り、水を汲む労働をして師匠に仕える作業の中に学ぶことの意義があったのでしょう。
ヒトはある意図を持って事にあたらないと能力は身についてこないということです。
人は「社会的動物である」という言葉がありますが、ここに「ヒト」として基本的な能力が求められているのです。
ヒトはヒトとして生まれていますが、後天的教育から人間として成長するのです。
インドで20世紀初頭見つかったオオカミ姉妹(オオカミに育てられた姉妹)「カマラとアマラ」はその典型的な例でしょう。人に引き取られてから食事の仕方、2足歩行、会話などを教えたのですが結局は躾られなかったそうです。
人間として成長するために躾というものが存在するのでしょう。
礼儀作法から、協調、思いやり、察し、躾は挨拶の仕方、日常の所作などなど。
インターネットのニュースが相撲について報じていました。
「・・・・1980年代、空手の修行で訪日した際、相撲の「歴史の重みが漂う雰囲気」に圧倒され、今も教え子にその「奥深さ」を説く。その思いは着実に伝わっているようで、道場に通う女子高生のアディ・ゲルステインさん(16)は「相撲が大好き。体が鍛えられ、自分に自信が持てるようになった」と目を輝かせていた。」
こんなニュースに触れると、いつも感じることなのですが外人の方が武道、武術としての意義を正しく理解しているのです。
太字の箇所が今日的に武道の意義のひとつと考えます。
40年ほど前に書かれた本に次の文言を見つけました。
「戦後、著しく道徳の混乱した現代社会において、剣道によって心魂を練り、武道を通じて日本人の心の原点に還ることは、真に意義深いものと思います。・・・」。私が学生の頃に書かれた本ですが、当時から精神的な荒廃は心配されていたのです。
スポーツである前に、武道として意義があり、勝負は二の次ということなのでしょう。
先人のお言葉を結びとします。
「剣の妙機は、日常生活の中の対人作法の中にある」
直心影流 山田次郎吉
参考資料 「剣のこころ 勝海舟と直心影流」著者 並木靖 すずらん書房
「武道の礼儀作法」 著者 野中日文 出版 合気ニュース
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