漢字の話題に思う

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1月27日の新聞のコラム欄に何気なく目をやると、漢字の話題に触れていました。漢字には関心がある方なので興味を引き読みました。漢字に関心を持つ切っ掛けは親がつけてくれた私の名前にあります。「恒暉」これが私の名前です。記憶では小学校3、4年生位から漢字で名前を書いていたと思います。先生でも正しく読めず、「つねてる」「つねき」と読まれるケースが大半でした。今でも名刺交換などする時、読めますかと聞く場合がありますが同じ答えが返ってきます。亡くなった親父が姓名判断の先生に頼んでつけてもらったと言っていました。正しくは「つねあき」と読みます。
説明が長くなりましたがコラムの記事の話に戻ります。
漢字ブームにさらに火を点けたのがある人の「誤読」にあるとありました。漢字ブームの立役者なのに人気は急落中とも書いていました。
テレビ報道から「未曾有」の「有」のところを「ゆう」と読んでいた事を知りました。他にいくつか誤読をしていましたが、「有」を「う」と読むことを私が覚えたのが小学校4,5年の頃、担任の先生が※ガリ版刷りで手作りの漢字問題集からです。漢字の「読み」か、漢字を「書く」か、どちらか忘れてしまいましたが六級から一級までの段階に分けて学習させ進級させるものでした。この問題集、先生等が、朝早く学校に出て作成していていたようです。同窓会の時、先生が話してくれました。
(※(ガリは鉄筆で原紙を切る音から)謄写版の俗称 広辞苑より。確か、原紙は薄い油紙だったと記憶しています。小学校か中学校の頃、使った記憶があります。)
その中に「有無」の漢字があり、「うむ」と読むことを覚えました。ある人が読むと「ゆうむ」となります。
この報道で、小さい頃「漫画本」ばかり読んでないで、本を読みなさいと大人たちが言っていた意味を再認識しました。
漢字ブームで、財団法人・日本漢字能力検定協会が検定料で約15億円の利益があり、昨年度の受験者272万人で7年前は約158万人でその急伸ぶりはすごいとも書いていました。漢字に関心が集まるようになったのはいい事と思います。
しかし、逆に考えると漢字が読めない人達が増えていて、その反省からとも考えられるのではないでしょうか。
高校の頃(昭和37,8年)の記憶ですが、ある先生が、「今の人達は、『漢文』を読まなくなったから言葉を多く知らない」と言っていた事を思い出します。
当時、漢文の授業はありました。私は結構、興味を持って受けた記憶があります。授業で印象に残っているのは、「流石」の語源の説明でした。説明してくれた内容は忘れましたが、それを聞いて「流石」と書いて「さすが」と読むんだと教えてくれた時、成程と納得した経験があります。確かに漢文で書かれた書物、漢詩など読めば漢字を自然に覚えるのではないかと思います。
漢詩の一例
 「春望」      杜甫
国破山河在   国破れて山河在り
城春草木深   城春にして草木深し
感時花濺涙   時に感じては花にも涙を濺(そそ)ぎ
恨別鳥驚心   別れを恨(うら)んでは鳥にも心を驚かす
烽火連三月   烽火(ほうか)三月(さんげつ)に連(つら)なり
家書抵万金   家書(かしょ)万金(ばんきん)に抵(あた)る
白頭掻更短   白頭掻けば更に短く
渾欲不勝簪   渾(すべ)て簪(しん)に勝(た)えざらんと欲(ほっ)す
                        「漢詩をたのしむ」より
しかし、受験には必要とされていなかったためか、授業回数は多くなかったと思います。 
その先生、当時70才超えていて、ノーベル賞受賞作家になった方が教え子だったことが自慢でした。
それと、授業中よく授業から逸れて、いろいろと話をするのです。他の生徒にはそれが不評な面がありましたが、私にとって授業から逸れて話す、その話を興味深く聞けました。
例えば、剣道をやっておられたのだと思いますが、授業中、荒木又衛門の伊賀上野「鍵屋の辻」の決闘の話に触れ、実際は敵方の従者に尻を木刀で叩かれていた。それが真剣だったら、尻を斬られると止血が出来ないから又衛門はやられていたと。
他に、印象にある話が、中国が本来の字体を簡字体に変えていくことを「漢字の文化」が壊れると批判していた事です。その話、私は納得して聞いていました。
10年ほど前、居合の稽古をしていた縁で、台湾の女の方と知り合いになって話す機会があり、漢字の事が話題に上り、その方もやはり中国の簡字体は良くないと言い、台湾では本来の字体を教えていると話していました。
その方スナックを経営されていて、そこで台湾(中国)語の勉強会をしていたので、わずかな期間ですが参加したことがあります。その時、勉強のためと思い台湾の小学校で使われている教科書を講師に当たる人に頼んで取り寄せました。教科書をコピーした物です。
学年で言えば低学年用ですが、画数の多い漢字がびっしり詰まっている本でした。
ただし、ルビをふってあり読めるようになっていました。日本語のひらがなに相当する文字で発音を示していました。
この教科書を見て、これを読んで勉強しているとは、と驚きもありました。しかし、私の持論ですが画数が多い漢字は難しいと言う判断は誤りだと思います。子供の目で字体の形象を把握していく作業で充分学習できると言う感じがするのです。小学校時代、九段上(靖国神社の傍)に住んでいた友人から戦災の消失を免れた本を借りたことがあります。旧漢字で書かれていました。見たことのない漢字に興味を覚え読んで見たくなり借りたのです。確か、ルビがふってありそれで旧漢字を覚えた経験があります。
コラムで次の記述に最も関心が行きました。
「『学習時間が漢字習得の苦しい時間に空費されている』とは戦後来日した米教育使節団の漢字廃止論だった。」
この記述で、当用漢字が決められた背景の一端を思い出したからです。
私の記憶ではこうです。
「漢字は難しく字を読めない人も多く思慮できず、国が一方的な思想統一が行えたと判断、戦時体制を非難し、使用する漢字を減らす当用漢字制度がアメリカ占領軍の考えによって作られた。」
アルファベット26文字しか知らないアメリカ人にとって見ればそう思えるのでしょうが思慮不足な判断と思えます。
占領政策で、古事記、日本書紀などの神話も歴史教育で教えないようになりましたが、理由は歴史的事実が証明されないことは歴史教育に使ってはならないとの判断があったと記憶しています。これも今になってみればやはり彼らの思慮不足な判断と言う印象を持ちます。
戦後そんな風潮に便乗して、日本語を廃止して、母国語(日本語)をフランス語にしようと言った訳の分からぬ変な文化人がいたと聞いたことが記憶としてあります。
子供心に、使用する漢字を制限するのは「変だなー」とは思っていましたが、今でもおかしいと思っています。
その証拠に現在では常用漢字と称して、使用する漢字数を増やしています。新聞記事に拠るものですが見出しにこう書かれていました。
「鬱、顎・・・難字も登場 パソコン変換普及で」小見出しでは「常用漢字 新らたに191字」とありました。
追加される漢字を見ると日常的に使われている漢字ばかりです。
例えば「尻」です。当用漢字が常用漢字と見直されたのは’81年とありましたが、他にあげると裾、須、腎、芯、拭、憧、哨、蹴、羞、袖、呪とあり、ワープロで書けば全て出てきます。
その字「尻」が常用漢字に該当していなかったのが不思議に感じるくらいです。こんなことを審議する「文化審議会国語分科会」の存在する意味があるのでしょうか。
「拉致」という漢字が、北朝鮮「拉致」問題で取り上げられ、ニュースで頻繁に報道されていましたが、当初は「ら致」とテロップで流れていました。今では「拉致」と使う様になっています。漢字の使用の制約が漢字を覚えられない事例のひとつと思います。
報道など、ニュース、新聞、漢字の使用の制約はしないほうが良いと思うのですが。目にすることで覚えるのですから。難しい漢字と思うのであればルビをふればよいのです。
ただ、思うのですが常用漢字に取り上げられていない漢字、本を読んでいくらでも目にしていましたので、制度としてあるだけのものと言う認識はありました。
常用漢字が決められた経緯が記事に書いてありました。引用しますと「1949年までに定められた1850字の’当用漢字’がルーツ」。’81年の95文字追加、今回191字で2136字となる。
パソコンの普及でワープロが使えるようになっている現在、制定当時とは違い簡略化しなくても漢字を扱える様になっているので見直しをしてみても良いのではないでしょうか。
例に取り上げた漢詩「春望」に使われている漢字すべてパソコンで書けました。
余談ですが17、8年ほど前、合気道を指導している頃、アメリカ人が入門してきました。
ユダヤ系アメリカ人で滞在する3ヶ月期間の間でも稽古したいと言うので入門を許しました。身長は190センチ近くあり、彼の名はヒュー レスリーと言い、漢字が好きで道着の肩口に漢字を当てて「麗須離あるいは利」と名前を書いていました。アメリカ人の漢字の見方が時代と共に変化して単純なアルファベットの文字より、素敵に感じるようになったのでしょう。共に歩いている時、私より下がって歩けと言うと、「三尺下がって、師の影を踏まず」と言う事と知っていた様です。かなりの日本贔屓だったのでしょう。
<追記> 2/20 「流石」の語源、由来についてどうだったか気になったので検索した所、それについて触れていたサイトがありました。
http://hoop.exblog.jp/1284992/
読んだのですが、そうだったかと思い出すことは出来ませんでした。
旧漢字参考資料
台湾の小学校の教科書
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大正5年初版の「新訂詳解漢和大事典」
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大正12年初版「藝術と道徳」西田幾多郎著
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