「知の湧水」・レヴィジョニスト運動の提唱

渡部昇一氏の訃報を知ったのはいつだったか、記憶は定かでなかったのですが、亡くなられたと言うことが頭の隅にあり、買い物ついでにいつも立ち寄る書店で目にし買い求めたのが「知の湧水」でした。

「保守派の論客で英語学者の上智大名誉教授、渡部昇一(わたなべ・しょういち)さんが4月17日、心不全のため東京都の自宅で死去した。86歳だった。時事ドットコムなどが報じた。」ネット記事より。

以前、対談形式のテレビ番組で拝見する機会があり、保守の論客として注目していましたがこれを機に良く知ろうと思ったのです。

何故かと言えば、戦後の歴史問題、30代の頃よりそれなりに疑問に感じていた出来事を自分なり、関連する書籍、またインターネット記事などの情報を参照しながら、見解を持っていた事があり確かめたいとの動機でした。

第1章は、歴史認識を正すような記述です。

マッカーサーの名が出ています。

戦後の歴史観はこの人が行った占領政策に尽きると思います。

占領政策については私自身も、とても関心の高い出来事でした。

その切っ掛けは、しばしばブログに書いている子供の頃に大人から聞いた言葉です。

「マッカーサーは日本人の勇気と団結心を恐れ、占領政策で弱くしようとしている」との言葉。

この言葉が耳に残り、戦前・戦後の体制の違いに関心が向くようになっていました。

まっ先に関心が行った事、それは教育制度でしたね。

「修身教育」が無くなった事、親たちは修身教育で「道徳」を学んでいた世代、私らは「修身」と言う名ではなく「ホームルーム」の時限を設けてやる程度でしたので、その違いに関心が行っていました。

そして「古事記」などの神話の勉強が無くなっている事、耳にした言葉が「歴史的事実を検証できないものは歴史教育として扱ってはいけない」と言うことでした。

まだ若く幼い面もあり浅学のあまりその程度の認識でしたが、それをさらに知ろうと本などを読んでそれなりに見解を持ち始めたのが40代の頃ですかね。

何でだろうとの思いでしたが、後々マッカーサーの狙いがわかる様になってきたのです。

神話、修身の廃止は、小学校の先生に教えて頂いた「修身教育を廃止して、大和魂(日本人の共通的善意識)を貶めるため」の一言に尽きます。

これで、日本人の「矜持、誇り」は失せました。

 

著者が第1章1項で「レヴィジョニスト・マッカーサー」と題した意図が見えてきます。

マッカーサーに冠した「レヴィジョニスト」となる言葉、初めて知りました。

著書にその意義、由来が記されており、その表現の意味を理解し、著者の用語の意図を理解しました。

元は、「revision,revise」でここでは「歴史の見直し」と説明されていました。

「revisionist」修正主義者となります。

その言葉が使われ出した経緯は、次のように記されて、

「・・・アメリカは第一次世界大戦に加わって多数の死傷者を出した。しかし、参戦の目的は、振り返ってみると緊急性のないものだったし、死傷者を多く出したわりには見える国益が明らかでなかった。その反省気分のなかから、第一次世界大戦の責任をドイツだけのせいにしたことに対し、むしろフランスのポアンカレ内閣のほうの責任が大きかったのではないか、と歴史の見直し(revision,revise)を提唱した歴史家たちがいたのである。・・・」

続いて、「日本を縛るのは誰か」の項には、

「この提唱は、歴史学的には当然の事であった。しかしこの反省の歴史学、つまり修正主義的歴史が出始めると間もなく、ドイツはヒトラーの世になった。それで第一次世界大戦の見直しという正当な学問的努力がヒトラーの応援の如く錯覚され、レヴィジョニスト的と見られた歴史家は社会的に葬られるようにな具合になってしまった。この傾向は第二次世界大戦後も続き、レヴィジョニストはネオナチ的と見做されるようになった。つまり、この言葉に最も「汚い言葉」になった。レヴィジョニストと言われることは、社会的にはアウトロー(不逞の輩)と見做されがちになってきている。日本はいま、この言葉に縛られている。東京裁判の検事の告発条項を否定するようなことを言え—–それが正当な場合でも—–レヴィジョニストの烙印を、日本を裁いた連合国は押すのだ。特にアメリカ、特に『ニューヨーク・タイムズ』はこの烙印が好きなのだ。それにいまは、ロシアと中国と韓国と朝日新聞も同調しているのである。安倍首相が第一次内閣の時よりも臆病と思われるぐらい慎重なのも、この烙印を押されることを警戒しているからだろうと推察する。日本にこの烙印を押そうと構えている国は日本の敗戦で儲けた国々、つまり「敗戦利得国」なのである。しかし、東京裁判はどこから見ても不当なものであり、これを正当な裁判と認めている国際法学者は一人もいないと聞いたことがある(例外は日本の横田喜三郎東大教授とも言う)。日本人すべて、レヴィジョニストにならねばならぬのだ。」引用。

「レヴィジョニストにならねばならぬのだ。」と著者は主張しています。

私自身そんな意識は持っていなかったのですが、冒頭に述べたように戦後体制の教育制度には納得しかねる問題として「修身教育」の廃止、そして「歴史教育・記紀」の廃止に疑問を持っていました。

自分で「revision」した結果、記紀に書き記されている内容が、日本人の精神の源流になっていることに気付かされたのです。

切っ掛けは、合気道を修業し、開祖「植芝盛平翁」の言辞に誘発され、勉強していくうちに連綿と続く皇室の存在と深くかかわっている日本の歴史、そして精神文化の起点「記紀」にあると思うようになったのです。

「吉祥丸『父は合気道の心は皇祖皇宗の御遺訓である』、と良く言って居りました。合気道は日本の自然の中で培われた純粋に日本的なものだ。日本民族は麗しい山河を愛で、御皇室をその中心として尊宗して来た。従って合気道は御皇室と共に在り、御皇室中心で無ければ成らない、と」『合気道探究』7号36p」と言わしめるほど、古事記、日本書記から学んだ「言霊学」が合気道理念の基になっているのです。

開祖は「フトマニ」「皇祖皇宗の御遺訓」の言葉を用いて理念を説きました。

ベースは「記紀」です。

ある時、70代半ばの人にその言葉を話すと、「右翼」とレッテル貼りです。

こんな経験をするとつくづく、「レヴィジョニスト・マッカーサー」と著者が言う意図が見えてきます。

大東亜戦争の呼称とて、「太平洋戦争」と書き換えていますが、昭和初期に生れていた方達は「大東亜戦争」と呼びます。

大東亜戦争の大義「植民地の解放」これは連合国に都合が悪く書きかえたのでしょう。

これも「レヴィジョニスト・マッカーサー」のせいですね。

ゆがんだ戦後の歴史観をrevisionしなければと感じた事例です。

著者は事例として、今でも外交上、政治問題となっていることが項目別に著わして、その一例として韓国の歴史認識と題し、慰安婦問題の項で取り上げていました。

「・・・この問題が、主として朝日新聞の誤報と捏造が入り混じったような記事、簡単に言えば”インチキ記事”に端を発していることが明らかになってからも、まだそれを首脳会談にまで持ち込もうとしている報道があった。「歴史」は「史実」とは関係ないものだ、という歴史記述の伝統を現在まで引きずっている国とはまともに話すわけにはいかないだろう。「突き放すより仕方がない」と永い間、韓国問題に取り組んでいる人たちから声が出ている。・・・」引用。

歴史戦争と言う言葉が使われるようになっている現在、日本人一人一人がrevisionし、歴史認識を正しく持つ必要があるのでしょう。

著者、他にも北方領土問題、抗日戦勝記念問題(現中国、日本と戦っていない。当時戦ったのは蒋介石の国民政府軍、毛沢東の、つまり中国共産党の軍隊でない。)

そして結論として、マッカーサー証言を使えの項では、

「そんなことをやっても無駄だろうと言う人が多いかもしれませんが、勝ち目はあるのだ。それは東京裁判そのものであったマッカーサーが公式の場で—–アメリカ上院軍事外交合同委員会—–で東京裁判を否定する証言をすでに昭和26年(1951年)に行っているのだ。これは学者の研究でも、マッカーサーの日記や著書でもなく、公式ので証言なのだ。私はすでに何度か引用しているので「またか」と言われるかもしれないが、敢えて引用しておきたい。

Their(Jpanese’s People’s)Purpose, Therefore,in going to war was lragely dictated by security.

(したがって、彼らが戦争に突入した目的は、主として安全保障のため、余儀なくされたものであった)

マッカーサーこそ、大東亜戦争に関する最高・最大のレヴィジョニストなのだ。主旨から言えば、東條被告の宣誓供述書と同じことを言っているのである。・・・」

最後に、

著者は「日本のレヴィジョニスト運動を推進すべきだ。この運動の成功無しに、日本はいつまでも歴史戦争の敗者でいなければらないのである。」

今思うと、この記述から想起されるのは、子供の頃に聞いた大人の一言「マッカーサーは日本人の勇気と団結心を恐れ、占領政策で弱くしようとしている」が私のレヴィジョニスト運動の始まりなのだとつくづく思います。

関連文献として読んだ書籍の何冊かを紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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