ネット記事でその様子が動画で紹介されていました。
その真摯な振る舞いに称賛があったというのですが、
動画を見た限り、正座の礼の身のこなしに稽古で日常的に行っている様子が伺えました。
挨拶したコーチとは以前から面識があったように思えます。
挨拶が自然でした。
私が稽古している合気道では、師範が入場される間、正座の礼でお迎えし、師範が神前に着き次第、体を起こし、神前に礼をした後、弟子たちに向き合い稽古の始まりの礼をします。
稽古の終了時も同様に行い退場されれ迄、礼を保持して感謝をあらわし、その後稽古相手と感謝の礼をします。当然ですが正座ですべて行います。
彼女にもこのょうな正座の礼に練りが見えて普段の稽古における所作が伺えたのです。
「・・・東京五輪は5日、今大会から採用された空手・女子形の決勝が行われた。世界ランキング2位の清水希容(ミキハウス)は27.88点で銀メダル、28.06点の同1位サンドラ・サンチェス(スペイン)が金メダルに輝いた。両者が健闘を称え合った直後、サンチェスがまず最初に清水のコーチに正座で礼。相手に敬意を払う姿の画像がSNS上にも投稿され、さらに称賛が広がっている。・・・」記事より。
この記述に「さらに称賛が広がっている。」とあるのは、現代の日本、以前より正座で礼をする機会が減り今の日本人には新鮮に映ったのでしょう。
「・・・和の心が咄嗟に出た。日本発祥の武道で金メダルと獲得したサンチェス。勝ち名乗りを受けて金メダルが決まった。清水と握手をした後、試合が行われた壇上から古川哲也コーチの前で膝をついて礼をした。コートを降りる前にとった行動だった・・・。」記事より。
この場面前述した通り、自然な振る舞いと感じましたね。
普段の稽古に取り組み姿勢が反映していました。
日本には古来より小笠原流と呼ばれる礼法があることは知っていましたが、家庭の躾では人との挨拶を確りやるようにしつけられた記憶があります。
社会の於ける最も基本となる礼法でしょう。
しかし、昨今日本式の立礼に乱れが出ていますね。
ネット記事の説明では、次のように書かれています。
「・・・室町時代に将軍・足利義満に仕えた今川氏頼・伊勢憲忠・小笠原長秀の3氏によって『三議一統』として完成された武家の礼法(室町礼法)が元となっており、それぞれの家系で今川流・伊勢流・小笠原流として伝えられた礼法のうちの一つである。
小笠原流礼法が民間に広まったきっかけは、江戸時代初期、小笠原流を学んだ水島卜也が江戸に小笠原流礼法の私塾を開いたことにある。水島は将軍・徳川綱吉の子、徳川徳松の髪置の儀に白髪を調進して有名となり、多数の門人を抱えた。この結果、水島派の小笠原流礼法が全国に広まった。・・・」記事より。
日本、古来より礼法が広まるほど、道徳面での文化の高さが伺えます。
武術の中にもその認識が取り込まれて、武道精神を示す標語として「礼に始まり、礼に終わる」が生まれたのでしょう。
今回のオリンピックで空手が居合、合気道と同様の海外に広く普及していることを知らされました。
私が合気道を大学で稽古していた時代、これほどに日本の武道(剣道、柔道、弓道。居合道、合気道)が世界に広まるとは想像できませんでした。
世界に誇れる「文化」です。
戦後一時期GHQの指令で禁止の憂き目に遭いましたが先人達の御蔭で禁止が解けた以降、この隆盛をみて草葉の陰で喜んでいるのではないでしょうか。
柔道は柔術として19世紀末には欧州に普及していました。
「・・・このシーンに対し、ツイッター上では国内外のファンが反応していたが、さらに称賛が拡大。「素晴らしいね」「どっちも素敵だ」「こういう大人になりたい」「礼節を学ばせて頂きました」「武道の心を感じます」などと日本人ファンを感動させている。」
と、記事では締めくくっていましたが、古来より日本では当たり前の所作、がしかし生活様式が畳からフロアー式で様式化しているために正座の礼をしなくなった分、見直す機会となったのでしょう。
剣術家が礼を大切にしたのは、次の言葉から推察できます。
「剣術と礼儀は『用心』という同じ親から生まれて兄弟である。こう言われてもピンとこない者は、剣術は何たるものよくわかっていないのだ。」(心形刀流 松浦静山)
「剣の妙義は、日常生活の中の対人作法(酬酢云為:しゅうさくうんい)の中にある。」(直心影流 山田次郎吉)以上 武道の礼儀作法より。
云為: 言ったり、したりすること。言葉と行為。言行。
今風に言えば「酬酢云為:コミュニケーション」の字義になるかな!?
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