休日のある日、時間潰しにとテレビにスイッチを入れ、いつもの様に面白い番組がないかチャンネルを回していると、「戦後のタブーをけっとばせ」と言う番組が目に入りました。司会が西部 邁氏、3人で対談する番組です。
ネット記事より。
出演していた女性、クライン孝子さんと言う方に興味をもち、紹介を聞いているとヨーロッパ人と結婚され向こうで暮らしているとの事。
彼女がヨーロッパ暮らしと言う点が気を引きました。
その理由は、塩野七生さんが書いた本、「日本人へ リーダー篇」を読んでヨーロッパで長く暮らしている経験とローマ帝国を題材にして出版されている見識からから書かれた本の内容が今の日本の問題点を鋭くついていたことにも拠ります。
クライン孝子さんも同様にヨーロッパで長く暮らされているのでどんな批評が聞けるかと関心が行きました。
もう一つ、以前ブログで触れましたが、女優岸恵子さんの批評が的確で、日本の政治家の在り方について的を射た発言をしていた事、彼女ら遠く離れたヨーロッパから日本をいろいろな視点で見ているのではと思えたのです。
岸恵子も、フランス人映画監督と結婚してフランスに在住した経験があります。
対談形式で話が進み、映像流出の事件が上がり、情報管理、危機管理について触れ発言がありました。
この点、国家的見地からアメリカCIA、韓国KCIAなどの様に国家情報を取り扱うシステムがないことを危惧していました。どういう事かと言えば、新聞の特ダネを例に挙げ、何でもかんでも特ダネと言って、報道するが国益的見地から言って日本に不利になるようなことまでばらしてしまう事。
喜ぶのは他国ではないかと。
また、スパイ防止なる法律がない事も指摘され、危機管理面で遅れていることを心配していました。
司会者は、「膝行」と言う言葉を例に挙げ、日本の外交に苦言を呈しています。
膝行と言う言葉、合気道では基礎訓練として足腰を鍛錬する動作を言いますが、
「いざり」と読むと紹介していました。
この年でその読み方を初めて知りましたが、司会者が言いたかったこと、腰が抜けちゃんと立てず、
外交をしっかりとやれない日本を憂いていたのです。
弱腰外交なる表現より、腰が抜けて歩くことも出来ない状態になっている外交を比喩したのでしょう。
その点、ヨーロッパの諸国、過去の歴史で何世紀にも亘り戦争、外交で揉まれているだけしたたかさを持っていると思います。
司会者、今の日本人を例えて、頭がイザリになって人間がだらしなくなってしまった、
ラテン語を引用し「死を思え」とも言うのです。
「memento mori」意味は次の通り。
「<<なんじは死を覚悟せよの意>>死の警告。特に、死の象徴としてのしゃれこうべ。人間の欠陥やあやまちを思い出させるものとして、ヨーロッパのルネサンス・バロック期の絵画のモチーフに用いられた」
自戒し覚悟を持って何事にも臨めと言いたかったのでしょう。
この言葉など、武士道を連想させます。
現政権の政治家に言いたいのでしょうが、私から見てもそんな精神を過去に学んだことはないでしょう。
中国の対応を見れば明らか、「男の面子」と言う言葉すら知らないのでは。
記憶は定かでないのですが、ナチス収容所の出来事で処刑される列にいた少年が機転を利かし列から離れて掃除に向かう人たちの列に紛れ込み死を免れた例を挙げ、きわどい経験をする意義を語っていました。
後々その少年が成人になり大きな功績をあげ社会貢献したとのこと。
司会者が、この例を上げた理由に生きていく上で、このような経験は非常に有意義なものになるとも語り、それを受けてクライン孝子さんソ連の捕虜収容所に抑留されたドイツ兵を、故郷の村々で温かく迎えてその体験を語り継ぐことを行ったとも話していました。
「麻山(まさん)」の事件にも触れて約500人の日本人婦女子がソ連軍に強姦されることをよしとせず集団自決したこと話していました。
中国孤児となった幼子がその悲惨さだけが記憶に残り「日本鬼子(日本人に対する蔑称だそうです)」だけの記憶が残ってしまったそうです。幼い子供には5人の男性が婦女子に銃を向け殺してしまう場面だけが記憶に残ったのでしょう。
その経緯は知らずに。
クライン孝子さん、日本のテレビ番組の放送内容のレベルが低く、くだらないものが多いとも言っていました。
確かに、お笑い番組が多く、たわいない話を大げさに笑うことなどを見るとそうかもしれません。
パチンコの話も出ていました。
2006年、韓国はパチンコを禁止していることに話が及び、日本がそれを許しているのがおかしいとも語っていました。
昔ですが、パチンコは射幸心を煽るものと禁止を訴える見識者もいたと記憶にあります。
私も、博打は良くないと親から言われましたが、いつの間にか巨大産業の位置を占めるまでになっています。
遊興にふけることはよくありません。
韓国の方が正しい選択をしたのでは。
しかし、日本に在住している同胞にはパチンコでしっかり稼いでと言うわけです。
司会者である、西部邁氏がある講演で韓流ブームに触れて、その理由に向こうの俳優が日本中年女性に人気があるのは、徴兵制度があるからだと言った時、そうだそうだと多く人が口にしたそうです。
そう言われると私は納得です。徴兵制度の是非はともかくとして、集団生活と厳しい軍事訓練を体験することで内なる面の精神的成長を促します。
若者に身心を鍛える機会が無くなったせいだと考えるのは妥当性があります。
今の若者に「凛」とした風貌が見られないのは鍛えることを忘れたからではないでしょうか。
民族の存続と言う事も考え、若い人たちを育てなければと語っていました。
私もこの点は気がかりです。
30代、40代の人と会話する度、国家観が薄く国はどうあるべきか日常的に考えることもないように思えるのです。
国が国として機能しなくなれば、歴史を見ればわかること。
それは、塩野七生さんが言っています。
「・・・つまり、ローマ史ならば、上部構造が機能しなくなると、上部構造自体はさっさと逃げてしまい、上部構造が機能しなくなったがゆえの弊害を、残された下部構造がモロにかぶる、・・・ローマ帝国の末期に起こった悲劇である。・・・国の安全保障の責任を負う国政が、ガタガタになってしまったからだ・・・」
塩野七生、クライン孝子、女優岸恵子ともにヨーロッパで暮らした経験があります。
それぞれの見識がヨーロッパで育まれたのでしょう。
ヨーロパ大陸、政治、文化などの思想が彼女らに適切な批評を言わしめているような気がします。
民族意識が弱くなり、歴史、精神文化が無国籍的なものに変質している日本が心配です。
クライン孝子女史も多数の本を出版されていました。
番組で著書を紹介していました。
このブログに感銘を受けました。あなたのような日本人が多いことを願って止みません。
コメント有難うございます。
戦前、戦後の歴史を自分なりに見直しを若い頃より続けています。
あの番組「戦後のタブーを蹴っ飛ばせ」だったかな?
観ているとブログに書いた思いが湧いてきたのです。