人間国宝・伝統工芸!

始業前、スタッフが、「社長!読んでください。」と持ってきた本、スタッフのオヤジさんが大切に持っていた本、オヤジさんは日本美人画の画家で、参考のため所有していたのでしょう。本人は糊画師の仕事をしていました。

朝礼前にさっと目を通すと、序文に福田恆存(つねあり)氏の寄稿がありました。

以前ブログに紹介した「職人衆昔ばなし」にも序文を寄稿していましたが、日本の文化に造詣のある方なのでしょう。

学生の頃、テレビなどで観た事があり、批評家、評論家として著名な方と認識はしていました。

評論などから察するに、日本国の文化、芸術、歴史を正しく批評できる人なのでしょう。

今さらながら、この本を手にし序文を読んでみると教養人としての聡明さを感じ取ることができます。

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1967年(昭和42年) 7月5日発行

写真 杉村 恒(つね)

文  小川 正隆

発行所 株式会社美術出版

発行日付を観ると、「職人衆昔ばなし」と同じ時期、

昭和40年代、大量生産が当たり前になり、そんな時期の手業、職人の技能を見直そうという機運があったのかもしれません。

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スタッフが関心を寄せていたページが次の写真、

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説明文には、「制作中の中島さん。昼間でも電気がともされ、特別に工夫された凸レンズが常に手元の明るさを一定させている。」

彼はさりげない工夫に感動を覚えたそうです。

彼も元は根っからの職人、創意工夫に関心が高く、そんな記述に惹かれたのでしょう。

それと彼のキャリヤから、染織にも関連していたからでしょう!

反物に模様をつける仕事の一端の道具彫りです。

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この写真は「縞彫」の技巧を見せています。

職人衆昔ばなしに、ある職人が言った言葉、、「仕事で楽しい思いをさせてもらって、お金なんぞ貰うのは申し訳ない」とありましたが、明治生まれの職人の気質を如実に表しています。

いいね~

この本に紹介されている人間国宝、分野として陶芸、染織、漆芸、金工、木竹、人形など。

書かれた時期も昭和42年、彼等皆明治生まれだ!

頑固一徹、だが一途に極めようとする精神力、そして気骨があり人間味あふるれ人柄を想像してしまいます。

 

私は朝礼で何度か、旋盤工が書いた本から一文を引用し、仕事に取り組む姿勢を諭しています。

職人の定義、「職人とはモノを作る手立てを考え、道具を工夫する人」、

いい仕事をするために、創意工夫を凝らし、そのために様々な道具を生み出す知恵、これなどは仕事の基本ですもんね!

序文には、「心と物」を対比させ、唯物論、観念論、はたまたマルクスなどの言葉を使い批評が続いていましたが、私は次の文章に関心が行きました。

・・・尚書に曰く、「人を玩びて徳を喪い、物を弄びて志を喪ふ。」物を侮り軽んずる者は自他の心を侮り軽んじ、それを物と化し、それを失ふに至る。物は自他の心の通路であり、物を通じて以外に人は相互に心を通はせることは出来ないからである。

ここに選ばれた「人間国宝」と呼ばれる人達は勿論の事、所謂手仕事に従事してゐる職人達はさういふ不変の真理を理屈抜きに体得してゐる。彼等は己を虚しくし、心を矯めて対象の物に仕えて来た。恐らく彼等の前にも、最初のうち物は「単なる物」としてしか姿を現さなかったであらう。物はまだ死んでゐる。沈黙したまま何も語りかけなて来ない。さふいう梃(てこ)でも動かぬ頑な存在に何か片言でも喋らせる為には、専らそれに仕えるといふ愚かな手立てしか彼等には思い附かなかったのである。事実それ以外に道はない・・・」

こんな記述から思い出させる仕事に刀鍛冶がある。

身を清め神に祈り刀造りに取組む刀匠、こんな精神性が今でもモノ造りに生きている日本、先人たちがその精神を今でも繋いでくれていることに感謝です。

功利主義、実用主義には育まれない精神性を思う。

分野は違えど、野球で今もそんな精神を知らしめているのは、古くは川上哲治、いまはイチローかな!?

 

 

 

 

 

 

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