4月16日(水)川越商工会議所工業部会が主催する説明会に参加してきました。場所は商工会議所大会議室で行われ、約40名が参加し、午後4時から1時間半程度の説明会でした。
講師は経済産業省 製造産業局 素形材産業室 課長補佐(企画調査担当)内田 隆氏 他随行者2名
資料として次のものが配布されていました。
1 経済産業省 News Relese 平成20年3月25日
「不公平な取引方法」に係る経済産業省と公正取引委員会との協力スキームの構築について
2 素形材(ものづくり)産業取引ガイドラインの認知・活用について
3 素形材産業取引ガイドライン
4 ものづくりさらなる発展に向けて ~競争力向上のための取引改善~
5 下請かけこみ寺 中小企業庁
素形材産業取引ガイドラインは26頁もあるので簡単にその趣旨を紹介するため冒頭に書かれていた「はじめに」の項を引用します。
―――――――-本ガイドラインの策定にあたっては、平成18年5月に策定された「素形材産業ビジョン」での以下の指摘を出発点としている。
・ よりよい製品を生産するためには、それを構成する部品の高付加価値化が必要であり、素形材メーカーに単純なコストダウンを要請していくことは、部品御及び製品の品質や性能など支障を及ぼすことに繋がる。
・ 独禁法や下請代金等の法令遵守を徹底させるべき。また、中小素形材メーカーの能力を引き出すため、合理性のない価格設定や支払いについての慣行や中小メーカーの過重負担、知的財産・ノウハウの扱いについての改善が必要。
さらに、製品メーカーと素形材メーカーとの技術革新が促進される望ましい取引類例(ベストプラクティス)を整理し、促進していくことも必要。
・ こうした課題が民間企業間の取組ではなかなか是正されないことを鑑み、取引慣行を早急に改善するために、政府が中立的な立場からガイドラインを策定することが望まれる。――――――――
要点を言えば、優位的地位にいる親事業者が、下請け事業者に対し不利で一方的取引をさせないようにしようと言うのが骨子です。
そして、中小素形材産業の健全な発展を促進させるのが狙いのようです。
この時期にこのような施策を経済産業省が打ち出してきたのか、また今まで下請事業者の不利な取引慣行があった事は知らないはずがありません。
高度成長が終わり、日本経済の発展に将来的な不安を感じての考えがあるのでしょう。
説明会での冒頭の話から察しがつきました。
自動者産業と中小素形材産業の関連から、日本の産業技術基盤が下請事業者にあると言う。そのような会社の健全な発展と人材育成、新技術開発が出来る体質を持てる正当な利益確保が必要と認識したのでしょう。
日本にとってこれからも、モノ作りを支えるのが素形材産業事業者であり、工業力の源と理解したのだと考えます。
事例としてリケンが中越地震で作業中断に陥ったとき、大手自動車メーカーは車が造れなくなるので、何百人と社員を派遣し早急の復興にあたらせたそうです。
その会社の部品が日本車の優秀性を維持しているのです。
世界に誇れる優秀な産業技術の根底に日本の中小素形材産業にあることを示しました。
他に、アイシン、デンソーなど質の良い部品作りの優秀性を説明していました。
説明の中で、大企業の利益偏重があり、成長の一環として成果を中小企業にもたらせる様、下請取引の適正化を図ろうとの狙いもあるようです。
以前から、自動車つくりに従事する会社で親事業者と言われる大手は利益が出るが、1次下請はまだいいが2次、3次下請となると利益確保が困難と聞き及んでいます。国がこのような施策を構築するようになったのも、利益配分の適正化があるのでしょう。
当社も、今までの経験で景気後退など景況が悪くなると、取引先から必ず値下げの話が出てきます。
現在は原料高が大きな影響となり、値下げを言ってきた会社がありました。
私の会社も、原料高の影響で収益を圧迫する状況にありますが、そう簡単に価格に転嫁できないのが現状と言えます。
そのような状況下で、下請取引の適正化を計り、素形材産業取引ガイドラインがそのバックアップとなるようにと国がそれを作ったのでしょうか?。
知的財産に相当する図面なども、以前は親企業から要請を受け、渡してしまう事例が多々あったので、その際は渡すのであればしっかりとその代価を要求するようにと注意を促す話も出てきました。
私が耳にしていたのが、NC旋盤のプログラムなどもコピーされ外国の企業の手に渡り勝手に使われるケースです。コンピュータは私がその仕事に従事していた35年ほど前に比べ隅々まで普及しているのでそのようなケースが起きるのでしょう。
余談ですが私の経験からみて驚きを感じるのが記憶媒体の極小化とその膨大な記憶容量です。当時のコンピュータ、メインメモリー256Kバイトで月のリース料1000万円を超えていました。想像を超える進歩です。
海外へノウハウが流れるケースは他にもあります。
丁度このブログ書いている時、当社の自動塗装機の修理に来社した人から聞いた話しですが、私(修理に来た人)より年上で、会社をリタイアーした人達が図面などを売り渡す例があったと話していました。
これからは、著作権などの法の整備が必要とも話していました。
説明を担当した方は、各地で説明会をしている様子で、限られた時間の中、上手に分かり易く話していました。場数を踏んでいるのでしょうが感心しました。
説明会の後、懇親会があり、担当者と話をする機会が持てたので、そのことを話したら喜んでいました。私の子供とほぼ一緒の年齢で31才、しかし中小企業の実態を正確に掴んでいるように見受けられ、ある面頼もしく思えました。
経済の発展のためこれからも頑張ってくださいと激励しました。
ガイドラインに関することがあれば、何でも相談に乗りますと話していましたので資料に載っていた連絡先を記述します。
素形材産業室
経済産業省 製造産業局 素形材産業室
http://www.meti.go.jp/policy/sokeizai/
〒100-8901
東京都千代田区霞が関1丁目3番1号
℡03-3501-1063 Fax 03-3580-6394
他に中小企業庁、中小企業支援センター、公正取引委員会
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