(続)責任を果たす。

続き・・・

前回、私の新聞配達の経験から台風の中、大変な思いをして新聞を配って責任を果たしたお話をしました。
何故、そのような責任感が育まれたかを考えると、親からは学校を休むな、また学校も皆勤するようにと奨励した空気があったように、休んではいけないと教えられていたからではと思います。
私は高校3年間は休まず皆勤賞をもらった経験もあり大事なことと認識していたのでしょう。

さて、「死体は語る」で紹介されていたお話は明治時代のことです。

著者が小さいころから父に聞かされて語り継いだ物語を「責任」の章で書いています。
とても感動的なお話なので全文を紹介します。

「・・・幼いころ、父から何度か聞かされたお話である。
母親が夕餉の支度中、我が子に砂糖を買ってくるように頼んだ。子供は7~8歳くらいであった。明治になって間もないころの片田舎のこと、砂糖は貴重品である。隣村の店まで往復一里(4キロ)はあった。日が暮れても少年は戻らなかった。
大騒ぎになり、家族が手分けして村中を探したが見当たらない。困惑しているところへ、少年がひょっこり帰って来た。たぶん夜中の十時は過ぎていたであろう。
こんな遅くどこで遊んでいたのか、と母は叱った。少年は、砂糖を買いに行ってこいと言われたから買ってきましたと、袈裟掛けにした風呂敷包みを差し出した。隣村の店に行ったら、今品切れでないというので、どこへ行けば売ってるかと尋ねたら、町の店へ行ったら、店の名を教えてくれたので、そこまで行ってきたというのである。
往復24キロはある。暗闇の田舎道を少年は一人で歩き続けて、母の言いつけを果たしたのである。まあ!!なんという子であろうと母は驚き、二の句がなかったという。
大人たちは驚きの中に、少年の心意気と言おうか生き様がうかがい知ることができるようであり、母親もわが子が並みの人間ではないと感じたに違いない。長じて少年は裁判官になった。農民の子でも勉強すれば、何にでもなれる時代になっていたからである。
この先祖の話は、わが家では言おうとはなしに親から子へと語り継がれている・・・」

この少年が、そのような責任感をどのように身につけたかは書かれていないが、生活の中、生きるためにやり遂げなければいけない仕事を、日々親に言いつけらていたのではないでしょうか?
私が小さいころまだ日本は貧しかった。家庭にもよるでしょうが生活の糧を得るために働く子供が大勢いました。
私の家でも、故あって店をつぶし、板橋の長後町に住んでいたころ中学生が新聞配達をして働いていました。
母親がそれを見るたび、その少年を「偉いね!」と褒めていたものです。そんな話を聞かされていたので私も新聞配達をする気になり、半年間やったのですが、最初にもらった給料を差し出すと母は好きなものを買いなさいと言い、私はこうもり傘など数品買った思い出があります。今にして思えばそれが最初の給料なわけです。

あの頃はまだまだ家族全員で支えなければという雰囲気がありましたね。
私の経験で言えば内職の手伝いです。確か小さいビニール袋に入った醤油のラベル張り、いくらもらえたのでしょうか?

二宮金次郎精神が求められていた時代です。

維新直後、徳川幕府がなくなり階級による区別がなくなり、平等にチャンスが与えられた時代、その少年も「志高く」猛勉強し立身出世を果たしたのでしょう。
今、「志を高く」という風潮がないようですが、人の心の特性を考えればいかに「志・目標」を立てることが大切かその少年の例でもわかります。

亡き母の師が私に呉れた「後藤静香(せいこう)著 詩集権威」の一遍より以前にもブログに書きましたが「第一歩」紹介します。

十里の旅の第一歩
百里の旅の第一歩
同じ一歩でも覚悟が違う
三笠山に登る第一歩
富士山に登る第一歩
同じ一歩でも覚悟が違う
とこまで行くつもりか
どこまで登るつもりか
目標がその日その日を支配する

最後に「責任の章」の終わりに紹介されていた中学校の校長先生のお話を書いて結びとします。
「・・・廊下にゴミが落ちていたので、そばにいた生徒に拾ってくずかごに入れるようにと言うと、生徒は「私ですか?」とけげんな顔をして、「捨てた人にいってください」と言った。
誰が捨てたかはわからぬが、散らかったゴミは学校の生徒として片付けるべきである、と諭すと、生徒は「関係ないよ」と捨て台詞を残して立ち去ったという。時代は変わっても、人がなすべき任務には変わりがないはずである。」
私らの時代と違って、師を敬う心がないこともその一因でしょう!

昭和31年小学生5年の担任だった先生に私が60歳くらいになったころ電話で聞いたことが戦後の教育についてでした。

戦前の修身教育を廃止した目的が「マッカーサーが大和魂を壊すため」と言われ、戦後の時点で心が乱れることは予見できたと言い切りました。

教育者として「心を作る教育」が無いといけないと分かり切ったことだったのでしょう!

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