「戦果アギャー」って!

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この言葉、「この国の品質」と言う本から知りました。

著者は佐野眞一さん。

9年ほど前購入したのですが、まだ読み切っておらず、読み返そうと思い立ち書架から引っ張りだして読むことになりました。

切っ掛けは、ネットニュースで三菱重工、川崎重工、IHIなど、日本を代表する企業が業績悪化で赤字と報じていたことと、シャープが台湾の企業「ホンハイ」への身売りなど、戦後の高度成長に大きな役割を果たしていた大企業の凋落が気になっていたからです。

本の副題「日本の、日本人の劣化はとまらないか!?」の記述がとても示唆的でしたので。

他に東芝が不正会計で業績は悪化、そしてソニー、パナソニックも同様に成長に陰りが見えてきている現状があります。

著者が「「読む力=「人間力」」と定義し、その記述と今の日本の産業界の事象とがダブってきたのです。

そんな背景を思い浮かべ、納得させられる記述が多く関心を高めて読み進んでいくうち、「語られてこなかった「沖縄」の戦後史」の項に表題の言葉が出てきたのです。

沖縄といえば、日本で唯一の地上戦が行われたところと認知されすぎて、著者はそれだけの「鉄の暴風」という歴史観だけでは「沖縄」は語れないと言っています。

そんな歴史観から離れた視点での沖縄を語る記述に出てきた言葉が「戦果アギャー」でした。

沖縄の幾たびの取材で、分かってきたことらしく、充分に沖縄の戦後史が語れていないことを記そうと思いついた結果だそうです。

「・・・やくざの歴史もそう、沖縄県警の歴史もそう、経済や金融の歴史もそう、軍用地主の歴史もそうです。このなかで竹野一郎という名前をご存知の方は、たぶん一人もいないと思います。実はその竹野一郎という男が、沖縄を実質的に支配している。彼は沖縄最大の軍用地主で、黙っていても年間20億円以上の軍用地料が入ってくる。彼が琉球銀行から自分の預金を引き揚げた瞬間、沖縄経済は破綻します。それは絶対表にはでない話ですが、そういう構造としての沖縄を僕は書きたかったのです。・・・」

当時執筆中の「沖縄コンフィデンシャル」のモチーフだそうです。

違う観点で沖縄を観ると、沖縄がいつも被害者の島として語られているが沖縄と奄美大島との関係で観ると立場は逆転すると著者は述べています。

奄美大島は両親の故郷で、小さい頃から親からは貧しい土地柄と聞いていました。

昭和28年12月25日まではアメリカの領土、私が戦後住んでいた飯田町の家には上京の際、家を頼って密航した知り合い、親戚がおりました。

それは上京し生計を東京に求めたのです。

著者は当時の奄美大島の状況を次のように記述しています。

「・・・奄美大島はたいへん貧しい島です。戦後もエンゲル係数87%という時代が続きます。食うや食わずのビアフラ難民みたいな腹のほっこりの出た少年の写真がたくさん残っています。食えませんから、基地建設ラッシュに沸く沖縄を目指すわけです。沖縄は安い労働力をそこから調達した。ところが沖縄もたいへん貧しいところですから、奄美人がたくさん入ってくると困る。つまり自分たちの職が奪われる。そこで始まったのが、奄美差別です。・・・」

こんな記述を読んで、戦後飯田町に居を構えていた親父の家を頼って職探しをしたのかと改めて思い知りました。

親から沖縄へ出向いた人が多くいたとは聞いていませんでしたが、両親は喜界島生まれ、奄美本島とは事情が違っていたのでしょうか?

そんな奄美差別の中で食べるために始めた稼業の一つに「戦果アギャー」がありました。

民謡教室の会長は戦後の歴史に詳しいので聞いてみると、「戦果を上げる、上げる人」という意味と教えてくれました。

ある人の例に挙げて、事例を記述しています。

「・・・彼は奄美大島で密貿易をやった後、沖縄に移って”戦果アギャー”の泥棒稼業に入ります。どんなものを盗みましたかと尋ねると、米軍の軍服であるとか、それからエンジンオイルをよく盗んだよと言う。・・・」

エンジンオイルはテンプラ油の代用品として使っていたようです。

美味しくはないでしょうね。

当時、日本は敗戦で品不足、まして戦前から貧しい土地柄、食うためにはとやった事でしょう。

「戦後アギャー」は泥棒稼業です。

奄美出身者は航路の関係もあって、結構神戸、尼崎に出てきているようです。

以前会長から、神戸製鋼の溶解炉の作業環境の劣悪な仕事に就く人が多くいたと聞いたことがあります。食うために必死に働いたと。

両親の部落では、船乗り、印刷業、塗装業に就く人が多かったようです。

東京に出て事業に成功した人を頼って上京した結果でしょうね。

うちのオヤジもそうでした。

戦前昭和12年ごろ、叔父を頼って。

食うために、生きるために職を探して生計を立てるために。

戦後70年以上たった今、そんなバイタリティーが失せている気がします。

引用書籍

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