暮れにBS番組を確認すると、黒澤明監督の映画を特集する番組表を目にし、そこに「七人の侍」が載っていたので、観ることに。
最初に見たのが、高校生の頃、池袋駅東口、都電通りに面した映画館だと記憶しています。
昭和30年代後半だろうと思います。
その映画の評判を知ることなしに、たまたま見ることにしたのですが、その面白さに惹き付けられていました。
どういう訳か、字幕には英語が使われており、海外向けのフィルムを使用していたのでしょう。
当時、リバイバルブームがあり戦後間もない頃の映画を観る機会がありました。
三船敏郎主演の「野良犬」「酔いどれ天使」など見ていたので多少の知識は有ったのでしょう。
この映画で三船敏郎扮する「菊千代」の豪快な殺陣、そして際立った野育ちの役柄、そして仲間からかわかれる場面が印象的でした。映画的にはユーモア的な場面、そして勇壮な戦いの場面、そして含蓄あるセリフなど、活劇時代劇映画としてまさに傑作です。
特に、百姓を助けるためにと志村喬扮する勘兵衛が腕の立つ侍を探す件は本当に楽しく面白く見れたものです。
そんな中でも、剣を究めんと修行中の久蔵、宮口精二が演じていましたが、その雰囲気たるやまさにそのもの、黒澤明監督の演出のなせる業、恰好よかったです。
宮口精二、後に、テレビ映画で※「ベンケーシー」のソーバ先生役の声優をやっていました。
※ベン・ケーシー(Ben Casey)は、1961年から1966年まで放送されたアメリカのテレビドラマ。総合病院の脳神経外科に勤務する青年医師ベン・ケーシーを主人公に、病院内での医者と患者との交流を通じて医師としての成長を描き、当時高い評価を得たメディカルドラマである。
それから早や、50年以上たってまたみると人生経験を積んだ分だけ見る視点も変わるようです。
今回見て、特に印象を持ったのが、野武士の襲撃に備え、防御のため、お堀、柵など設営して守りを固めて備えを済ましている中、隊列を造り集合し、いよいよ戦いの最終的な守備体系の指揮を執る島田勘兵衛が、川向うの離れにある3軒は残念だが守れないのでそこに住んで居る者は引き上げる様にと指示すると、その百姓が、自分たちの家が守れなく、人助けするのは馬鹿馬鹿しいと怒りだし竹槍を打ち棄て、引き上げようとした時、竹槍を取れと叱り、勘兵衛が抜刀して百姓を追い立てるのです。
この顔付、まさにそれ!
百姓たちは恐れおののき逃げ回る。
この場面が何故か心に迫ってきたのです。
いまの日本を取り巻く情勢と、この場面から伝わるメッセージが合致して切実な感慨を持ったのです。
いざ戦いとなれば、非情な面を持たなくてはならない。
個々の我儘を通らないと脅しをかけて悟らせるこの場面。
百姓は怖さの余り、列にもどり改心します。
その時の勘兵衛は百姓たちに向かって云うのです。
「人を守ってこそ、己も守れる。それが戦というものだ」と!。
そして野武士の襲撃がおこります。菊千代が茅葺屋根の上で、「来やがった、来やがった」と絶叫、この後あの有名な雨の中の戦闘シーン。
まさに娯楽活劇時代劇です。
これで何回観た事になるのだろう!
指10本以上観ているかな!?
もっとかもしれない!
コメントを残す