老人が「古老」と呼ばれていた頃!

最近、下流老人、不良老人と嫌な呼称が使われ始める世相が気になっていました。

ニュース記事に酔っぱらって、駅員などに絡み無理難題を押し付ける年寄りなどがいると仄聞していましたが、ネットニュースが老人の万引きが多発と報じていました。

噂通り、不良老人が増加しているようです。

「老人の万引きが増加しているというのは聞いたことがあった。しかし、まさか、ここまでとは思っていなかった。驚いただけではなく哀しくなってしまったが、こういう現実を直視せずに現代社会を論じることはできないはずだ。・・・」、この記事で取り上げていた万引き例。

○売り場にあったコロッケを半分食べてしまった老人による万引きである。やせこけた81歳のホームレス男性が、ひもじさに負けて、店内でぱくっとやってしまったのだ。所持金はゼロ。

○自立支援施設 や介護施設で食べたいものが食べさせてもらえないために好物を万引きする老人。寝たきりの息子のために好物であるヨーグルトを万引きする老母。などなど事件例が挙げられていました。

私等が小さい頃、年寄りは経験が豊富で、知恵者、相談相手など頼りになる印象を持っていました。

そんな老人を「古老」と尊称してた時代があり、つい最近の事と思います。

そんなイメージを具体的に示した映画「七人の侍」で描写されていました。

毎年、稲が実り収穫が済むと毎年のように野武士に収穫物を強奪されてしまうために、部落の人達が輪になって対策を相談する場面。

考えが浮かばないため、古老に相談しようと村の衆が古老の所へ行き、知恵を授かります。古老は記憶を辿り、昔サムライを雇って野武士を追っ払ったある部落のことを思い出しその様に命令をして、村人がサムライを探しに行くと場面でした。

農耕社会では、稲作などは毎年気候変化などいろいろな対応を講じる必要があるのでしょう。そんな時、頼りになったのが「古老」の存在、今でいえば、データバンク、その時その時で経験と知恵を借りて対応していたと言う事だと思います。若い頃聞いた話ですが、大正時代ラジオ放送が始まる様になった時、これで「古老の存在価値が無くなる」と言った話です。

つまり、情報が古老に頼らず入手できる時代になったからということでしょうか。

それでも、当時は年寄り、農耕社会では作業の担い手として必要とされており、生きる価値を見失うことはなかったのでしょう。

それが、戦後家長制度、家督制度が無くなり、一家の中心が無くなりました。それまでは、家督が継ぐ者が当然のごとく年老いた両親を面倒みると言う不文律もあり老後の心配はありません。

家々の都合もあり、すべてがその様に機能したわけではないでしょうが、原則的には拠り所になる家の心配は必要ありませんでした。

それが、戦後核家族化が進み、工業社会に変化して行く中、形態が壊れ、前述した老人が増えてきたのでしょう。

年齢的には私らの同世代、こんな老人ばかりではないですが、やはり社会制度の変化がもたらしている現象でしょう。

年寄りと言えども希少価値としての「古老」と尊敬され、頼りになる存在、「古武士」という言葉も同様に尊敬に値する人として使われ、印象的には人生を達観し、豊富な経験そしてゆるぎない「心」精神性のある人との評価でしょう。

「老師」と言えば、やはり尊敬の対象、今でいう「先生」、それでも今は

その格を貶め「教育事務屋」。

「老」という言葉は、「齢を取る」という意味、しかし

「老中」「家老」と使われたように重要な存在としての意味で使われています。

それが時代と共に変化してしまい、「老」は邪魔な存在の意味に取られる様になっています。

人生50年と言われた時代から、いまや長寿国と言われる日本、しかし長生きを「よし」として生きた戦後70年、今まで経験した事とない問題が出ています。

老々介護により疲弊する年寄り、痴呆で徘徊する老人、そして食うために万引きをする老人、福祉制度充実と謳いながらもさまざまな問題を抱え、医療費の増大で国家予算を圧迫し、そして年金の減額により困窮する老後などなど高齢社会が起こす問題がある。

記事の結びには、

「・・・高齢社会の片隅に、こういった現実が厳然と存在しているのである。それをもって、万引き老人が高齢社会の縮図である、とまで言うつもりはない。しかし、貧困、病気、孤独、といったさまざまな問題に起因する老人の万引きが、現代社会を映し出すゆがんだ鏡になっていることだけは間違いない」。

時代時代、変化して制度は生まれてきました。

こんな時代になった以上、この問題を解決するための対策が求められますね。

 

 

 

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