五月技量審査場所について一言

5月8日から両国国技館で開催されました。

これまでに至る経緯は報道されていますが、ニュースから見て取れることにある違和感を感じます。

今回の開催に当たって、あるファンがガチンコ勝負を期待するとインタビューに答え、力士の携帯電話の持ち込みを禁止し、館内には監視カメラを設置し監視体制を構築していました。

私から見ると、何か寂しい気持ちになってしまうのです。

前にも触れましたが、大相撲は興行です。

ファンはガチンコを常に望むなら入場料は今の3~4倍払って観るべきです。

力士が、そのパフォーマンスを発揮するためにどれだけ体を鍛えて臨んでいるか知れば、安易に望めるものではないと思うからです。

生身の人間がやるのです。

ある意味生活がかかってやっていること。

いつもそんなプレッシャーに立ち向い、身体を酷使することを要求していたら体が持たず、故障、怪我をする力士がさらに増えるでしょう。

例えば、柔道はアマチュアで試合をテレビで放映していますが、最近行われた日本選手権は年1度の開催です。

勝敗の決着形式は違いますが、

これを大相撲のように年6回15日間の開催とします。

同じような気持ちで戦うことが出来るでしょうか?。

戦後、一時期木村政彦という伝説的な柔道家がプロ柔道を旗揚げしたことがありました。

それとてもやはり、興行性が優先されました。

相撲の本質は、立会いにあり巨体がぶつかり合うだけでも体を酷使しています。

普段から稽古でその激突に耐えうる体を鍛錬し、それがあってこそ15日間戦える身体が出来て、相撲を見せているのです。

それだけでも、大変な作業と思えるのです。

ファンも、昔の様な視点で観戦すれば、競技性だけを重視してみるのが野暮と分かると思うのですが。義理、人情を大切にした時代と今では観方も変わってしまうのかも知れません。

プロレス全盛時代、毎週テレビで放送していましたが、それも興行性優先でやっていたからこそ身体が持ったのです。

血だらけになって戦う様子など本気でやっていれば体が持つわけがありません。

ですからプロレスはあるルール、相手の技は受けてあげることで成り立っているのです。

それを八百長とはマスコミは取り上げません。

何故、大相撲だけを取り上げるのでしょうか?。

競技として建前だけで批判するようになってしまったのは、マスコミ、特にある週刊誌のせいであるとも思います。

 野暮なことを言わなければ良いのにと感じてなりません。

それを取り上げて、販売部数を伸ばしたかったのでしょうか?。

力士にしてみれば、怪我、故障などで相撲が取れなくなれば生活基盤を失うのです。

相撲協会が本気で批判に対して、対策を打つべきことはもう年2場所にすべきです。

それに、怪我、故障などで相撲が取れなくなっても生活を保障する制度を構築すべきで、その保証があれば力士もいつもガチンコが出来るでしょう。

ここが大切な点です。

 年2場所であれば、地方巡業を増やせ多くの人たちが身近に観て貰えるようになり、それによって相撲の鍛錬の凄さを知って貰え、興行として行ってきた演目を見せ相撲が持つ面白さを知らせるようにすれば良いのです。

初っ切り、相撲甚句、相撲さんののど自慢、素人相撲との対戦などは興行的に楽しいものです。

 相撲協会幹部の皆さんは知っているはずです。

年6場所開催がいかに負担が多いことを。

しかし、携帯電話でやり取りした事が発覚し、舞台裏を見せてしまった以上、従前通りにはいきません。

一日も早く、年2場所体制にすべきです。

情緒的視点で観るファンが居なくなった大相撲、

競技性重視でやるのなら相撲協会は年2場所開催を真剣に検討すべきです。

 

それによって起るメリット、

体調維持管理、怪我の治療に十分な時間が持てる、

稽古に十分な時間がかけられ相撲技、得意技などに磨きがかかり技の完成度がます、

それにより相撲の醍醐味が増す、

本場所が少ない分、集中力が高まる、

地方巡業が各地で開催でき、大勢の人が身近に見ることで理解が深まり相撲普及の足掛かりになる等。

デメリット

興業収入の減少、

その対策、チケット料の値上げ。 

「 協会員一同、かかる事態を招いたことを厳粛に受け止め、深く反省し、今後、この問題の根絶と再発防止の充実に取り組み、皆さまの信頼を回復すべく、全力にて生まれ変わった相撲協会を目指し、まい進していく決意です。」

理事長の挨拶ですが、「かかる事態を招いたこと」は何か追及していけば、私の主張が分かると思うのですが。

<追記>

5/23のネットのニュースで次のように報じていました。

常連さんの相撲の見方、楽しみ方に視線の違いを感じる一文です。

「相撲案内所の営業を中止し、売店ではアルコール類の販売を取りやめるなど縮小した。興行色をなくすようにとの相撲協会からの要請を受け入れた形だが、案内所の関係者は「協会は、自らの体裁を整えることに神経を使っていて、お客さんに視線が向いていない。無料だから、今回だけ見に来る人はいるかもしれないけど、常連さんは減る一方だ」と嘆き節だ。」

 

コメントが 2件あります

  1. タケちゃんさんより2011年5月16日11:14 AM

    全く仰る通りです。
    私はスポーツアナウンサーであり、その立場から考えてみました。
    プロスポーツとは、お客様あってのものです。お客様がお金を払って見に来て下さる。それにあったパフォーマンスを見せるのがプロスポーツなのです。
    ですから、只勝てば良い!
    というものではないのです。
    お客様を喜ばして勝つ!
    これがプロスポーツです。
    ところが
    これはとても難しい!只単に勝ってしまってはお客様を喜ばすことは出来ないのです。
    お客様は、プロスポーツに非日常を求めに来ます。自分たちが出来ないパフォーマンスを見ることにより、明日の活力をもらい家路を急ぐのです。
    ガチンコ勝負を見たいのならば、オリンピックに任せればいいのです。
    プロスポーツは、オリンピック選手でも出来ないかもしれないパフォーマンスをしなくてはなりません。要するに「喜ばせる」という部分が必須です。
    私の幼少時のスターは巨人軍の長島茂雄選手でした。
    ワンテンポ遅らせて三遊間のゴロを捌きファインプレーにしてしまう。
    わざとブカブカのヘルメットを被り豪快に三振をする。
    彼が、三振をするためにバッターボックスに入ると思いますか?
    打つためにバッターボックスに入る長島選手が、それ以上にファンが喜ぶことを考えたパフォーマンスだったのだと、今私は捉えています。
    だから、彼はスーパースターになれた。誰もが出来ることではありません。
    プロスポーツは興行です。お客様に入ってもらわなければ事業は成り立ちません。つまらない試合、取り組みを見せていては入ってくれないのです。ですからスターを必要です。スター作りもしなくてはなりません。喜んでもらうために。
    そう考えると、今回の大相撲の八百長騒動も、「まあまあ、そうガタガタ言いなさんな」というのが私の見解です。
    人前で見せるパフォーンスのためにアスリートたち(力士たち)が、どんなに激しい鍛錬をしているか・・怪我でその競技を断念している選手・力士が如何に多いか!
    ガチンコガチンコというのであれば、場所数を減らして力士の体調管理をさせなくてはなりません。その分の収益は入場料値上げで補うことしかないのかもしれません。
    社長さんの仰る通りです。
    最後にこの一説を・・
    慶大の教授であった池田弥三郎先生が相撲を評してこういっています。
    「髷を結い、花道があれば芸能」、
    この言葉相撲ファンであった池田先生が、八百長、八百長と騒ぐことは野暮だと言いたかったのでしょうね。
    多少過激な文面になったことをお許しください。

  2. 上野2011年5月16日12:00 PM

    コメント有難うございます。
    職業柄、プロスポーツとは何たるかという視点からの見解、
    成程と思いました。
    相撲は、厳しい鍛錬、稽古で造った身体があってこそ魅せられるものです。
    アマチュアが相撲で鍛錬するのは、それはそれでとても意義があり、
    集中力を養うにはとても適しており、鍛えることで自信がつきます。
    初代若乃花、褌一つ体を見せる商売だと言って、魅せる点で肌艶にも気を配り、包帯、テーピングなどは「美」と映らないからと嫌っていました。
    この点が、プロ意識なのでしょうね!
    最近の相撲さん、包帯、テーピングだらけ、
    力士が大型化が進んで、怪我も多くなり仕方ない面もありますが、
    何とかならないですかね。
    年2場所にすれば体調管理も行き届き、
    無くなる気がしますが。

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